BCNU waferカレントトピックス

BCNU waferは悪性神経膠腫切除後の摘出腔に敷き詰めることにより, 全身性の合併症なく直接残存腫瘍や浸潤する腫瘍に抗腫瘍効果を発揮する薬剤である. 2013年の本邦での発売から約3年が経過し, これまでに約3,000症例以上に使用されている. BCNU waferは悪性神経膠腫に対する外科的切除と術後の化学放射線治療までの空白期間を埋める新しい局所性抗がん剤として期待されている. ただ, 治療におけるさまざまな条件の中で, 摘出率の高い群に特に有効であるとのデータはあるものの, それ以外にはどのような症例に有効であるかを示す報告は少ない. また, BCNU waferの留置に際して, 術...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 25; no. 11; pp. 889 - 894
Main Authors 本山, 靖, 中瀬, 裕之, 中村, 光利, 田中, 祥貴, 中川, 一郎, 西村, 文彦, 松田, 良介, 尾本, 幸治, 朴, 永銖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2016
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.25.889

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Summary:BCNU waferは悪性神経膠腫切除後の摘出腔に敷き詰めることにより, 全身性の合併症なく直接残存腫瘍や浸潤する腫瘍に抗腫瘍効果を発揮する薬剤である. 2013年の本邦での発売から約3年が経過し, これまでに約3,000症例以上に使用されている. BCNU waferは悪性神経膠腫に対する外科的切除と術後の化学放射線治療までの空白期間を埋める新しい局所性抗がん剤として期待されている. ただ, 治療におけるさまざまな条件の中で, 摘出率の高い群に特に有効であるとのデータはあるものの, それ以外にはどのような症例に有効であるかを示す報告は少ない. また, BCNU waferの留置に際して, 術後の脳浮腫, 創部治癒遅延などの合併症も報告されているため, 適切な使用と合併症回避に十分な注意を要する. 現在の悪性神経膠腫に対する標準治療であるStupp regimenに対するBCNU waferの上乗せ効果の検証は十分とはいえず, 今後とも新たなエビデンスの蓄積が待たれる.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.25.889