通いの場の活動内容は後期高齢者の女性におけるフレイルの新規発生に影響するか
【はじめに、目的】通いの場は介護予防の場として期待されている.札幌市は,介護予防に資すること,住民主体であること,月1回以上の活動があることを満たしているものと定義している.令和4年では1749か所を把握し,参加者の8割が女性であった.通いの場の内容は体操 ,会食,茶話会,認知症予防,趣味に分類され,内容別の効果は,体操を実施した場合に縦断的な身体機能への効果が報告されている . また,スポーツ等への参加による転倒,認知症等の低下が報告されている.しかし,後期高齢者の女性に限局したフレイルとの関連について通いの場の内容が重要であるかの報告はみられない.これを検証することで実践的な介護予防の内容...
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Published in | 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 42 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
31.03.2025
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_42 |
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Summary: | 【はじめに、目的】通いの場は介護予防の場として期待されている.札幌市は,介護予防に資すること,住民主体であること,月1回以上の活動があることを満たしているものと定義している.令和4年では1749か所を把握し,参加者の8割が女性であった.通いの場の内容は体操 ,会食,茶話会,認知症予防,趣味に分類され,内容別の効果は,体操を実施した場合に縦断的な身体機能への効果が報告されている . また,スポーツ等への参加による転倒,認知症等の低下が報告されている.しかし,後期高齢者の女性に限局したフレイルとの関連について通いの場の内容が重要であるかの報告はみられない.これを検証することで実践的な介護予防の内容について明らかにできる可能性がある.本研究の目的は後期高齢者の女性を対象に通いの場の内容がフレイルに関連するかを検討することとした.【方法】対象は通いの場に参加した後期高齢者の女性で,令和4年と5年の質問紙調査に回答があり,令和4年の後期高齢者の質問票 (以下,質問票)から非フレイルと判定された454名とした.調査項目は年齢,BMI,既往歴,通いの場以外の活動の参加有無,他活動種類数,通いの場の内容,要介護度,通いの場参加頻度,令和4年の握力, 5回立ち上がりテスト (以下,5STS),歩行速度,Timed up & go testとした.令和5年に非フレイルを維持した維持群,フレイルに移行した悪化群の2群に分類した.フレイル判定は質問票の No.1,2,12を除いた12項目の合計が4点以上をフレイルと判定する先行研究の方法で行った.統計解析は維持群を0,悪化群を1として多重ロジスティック回帰分析を実施した.有意水準は5%とした.【結果】維持群は395名,悪化群は59名であった.通いの場の内容はモデルの変数として抽出されなかった.それ以外の項目では 5STS(OR:1.27),町内会活動 (OR:0.45)が抽出された.判別の的中率は87.0%であった.【考察】通いの場に参加する後期高齢者の女性では,通いの場の内容はフレイルの新規発生に関連がないことが示唆された.一方で,起立が遅い場合はフレイルに移行する可能性が高く、町内会活動への従事はフレイルへの移行を抑制する可能性がある.5STSの増加は身体機能低下を意味し,身体的フレイルの要因になる可能性がある.町内会活動の従事者は地域愛着が高い傾向にあることがわかっている.地域愛着はソーシャルキャピタル (以下,SC)に含まれ,SCが醸成されることがフレイル予防に重要である可能性が報告されている.【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った.取得したデータは匿名加工情報に該当し,データの利用については事業実施時に対象者より書面にて同意を得ている.また,本発表については事業主体である札幌市介護保険課の了承を得ている. |
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Bibliography: | O - 42 |
ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_42 |