集中治療室での呼吸管理

集中治療医学の発展において人工呼吸管理法は中心的役割を担ってきた.急性呼吸不全患者の人工呼吸における要点は人工呼吸関連肺傷害(VALI)の発症を防ぐことである.VALIは肺胞の過膨張あるいは剪断力の発生により起こるが,自発呼吸存在下では経肺圧を指標に人工呼吸管理を行う必要がある.強い自発呼吸努力が認められる場合は筋弛緩薬を投与してVALIを防ぐ必要が生じることがあるが,副作用として呼吸筋萎縮が起こることがあり注意を要する.2019年から世界で流行したCOVID-19肺炎患者の治療では各施設の急性呼吸不全患者管理の知識と経験が試された.麻酔科医は人工呼吸管理に精通した職種であり今後も集中治療にお...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 43; no. 3; pp. 238 - 244
Main Author 藤野, 裕士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.05.2023
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Summary:集中治療医学の発展において人工呼吸管理法は中心的役割を担ってきた.急性呼吸不全患者の人工呼吸における要点は人工呼吸関連肺傷害(VALI)の発症を防ぐことである.VALIは肺胞の過膨張あるいは剪断力の発生により起こるが,自発呼吸存在下では経肺圧を指標に人工呼吸管理を行う必要がある.強い自発呼吸努力が認められる場合は筋弛緩薬を投与してVALIを防ぐ必要が生じることがあるが,副作用として呼吸筋萎縮が起こることがあり注意を要する.2019年から世界で流行したCOVID-19肺炎患者の治療では各施設の急性呼吸不全患者管理の知識と経験が試された.麻酔科医は人工呼吸管理に精通した職種であり今後も集中治療において中心的役割を果たすことが期待される.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.43.238