分子標的薬時代における転移性脳腫瘍に対する治療戦略

分子標的薬の時代になりがん治療が大きく変化する中で, 分子標的薬が脳転移病巣に対しても有効であることも報告され, 転移性脳腫瘍に対する治療戦略の再考が求められている. 全身治療である分子標的薬治療は脳転移病巣の大きさや数に制限がなく奏効率も高いが, 根治性は低く全身性合併症のリスクもある. 一方, 局所治療である定位的放射線治療は根治性は高いが, 病変の大きさや数に制限があり放射線脳障害のリスクもある. このようなそれぞれの治療法の特徴は, 両治療が相互補完的に協調し得ることを示しており, 今後は個々の患者に最も適した治療法を, 脳神経外科医・腫瘍内科医・放射線治療医で綿密に検討して決定してい...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 28; no. 11; pp. 715 - 723
Main Authors 井内, 俊彦, 原, 竜介, 新行内, 雅斗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2019
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.28.715

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Summary:分子標的薬の時代になりがん治療が大きく変化する中で, 分子標的薬が脳転移病巣に対しても有効であることも報告され, 転移性脳腫瘍に対する治療戦略の再考が求められている. 全身治療である分子標的薬治療は脳転移病巣の大きさや数に制限がなく奏効率も高いが, 根治性は低く全身性合併症のリスクもある. 一方, 局所治療である定位的放射線治療は根治性は高いが, 病変の大きさや数に制限があり放射線脳障害のリスクもある. このようなそれぞれの治療法の特徴は, 両治療が相互補完的に協調し得ることを示しており, 今後は個々の患者に最も適した治療法を, 脳神経外科医・腫瘍内科医・放射線治療医で綿密に検討して決定していくことが重要である.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.28.715