妊娠豚へのワクチン接種時期と初乳摂取制限が哺乳子豚の血清中豚熱中和抗体に及ぼす影響

豚熱ワクチン接種から分娩までの期間と初乳摂取制限が哺乳期子豚への豚熱抗体付与に及ぼす影響について調査した.研究には,豚熱ワクチン接種妊娠豚3頭及び未接種妊娠豚2頭から娩出された産子を用い,それぞれ①ワクチン接種~分娩までの期間及び②娩出後6時間の初乳摂取制限の有無で区分した.哺乳中子豚の豚熱に対する中和抗体価は,初乳摂取制限をした群ではしない群に比べて有意に低値を示した.初乳摂取制限をした群のうち,ワクチン接種~分娩までの期間が21日の群では,161日以上の群に比べて哺乳中子豚の豚熱に対する抗体価は有意に低下し,生後14日以降の抗体陽性率は0%であった.本研究の結果から,未免疫状態の妊娠母豚へ...

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Published in日本獣医師会雑誌 Vol. 75; no. 9; pp. e180 - e185
Main Authors 野口, 倫子, 鈴木, 武人, 香宗我部, 一実, 佐々木, 羊介, 青木, 博史, 長井, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 2022
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Summary:豚熱ワクチン接種から分娩までの期間と初乳摂取制限が哺乳期子豚への豚熱抗体付与に及ぼす影響について調査した.研究には,豚熱ワクチン接種妊娠豚3頭及び未接種妊娠豚2頭から娩出された産子を用い,それぞれ①ワクチン接種~分娩までの期間及び②娩出後6時間の初乳摂取制限の有無で区分した.哺乳中子豚の豚熱に対する中和抗体価は,初乳摂取制限をした群ではしない群に比べて有意に低値を示した.初乳摂取制限をした群のうち,ワクチン接種~分娩までの期間が21日の群では,161日以上の群に比べて哺乳中子豚の豚熱に対する抗体価は有意に低下し,生後14日以降の抗体陽性率は0%であった.本研究の結果から,未免疫状態の妊娠母豚への初回ワクチン接種時期と初乳摂取制限の双方は,哺乳期子豚の血中豚熱抗体量に明らかな影響を及ぼすことが明らかとなった.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.75.e180