当院における三尖弁置換術の成績

[目的]2020年改訂版弁膜症治療のガイドラインによると三尖弁逆流の残存は予後不良因子とされ確実な制御と適正な時期の治療介入が求められている.三尖弁に対する手術は人工弁輪を使用した形成手術が第一選択となっているが,高度な弁輪拡大やtetheringを有する症例は人工弁輪のみでは制御が難しく,僧帽弁形成術に準じた手技の追加を必要とする.シンプルで確実な逆流制御を目的とし三尖弁置換術を選択することがあるが,その遠隔期成績は明らかではない.今回当院での三尖弁置換術の成績を検討した.[対象と方法]2008年2月から2022年5月までに17例の三尖弁置換術症例を経験した.手術成績および追跡可能であった超...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 53; no. 4; pp. 169 - 173
Main Authors 横山, 雄一郎, 圓本, 剛司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2024
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:[目的]2020年改訂版弁膜症治療のガイドラインによると三尖弁逆流の残存は予後不良因子とされ確実な制御と適正な時期の治療介入が求められている.三尖弁に対する手術は人工弁輪を使用した形成手術が第一選択となっているが,高度な弁輪拡大やtetheringを有する症例は人工弁輪のみでは制御が難しく,僧帽弁形成術に準じた手技の追加を必要とする.シンプルで確実な逆流制御を目的とし三尖弁置換術を選択することがあるが,その遠隔期成績は明らかではない.今回当院での三尖弁置換術の成績を検討した.[対象と方法]2008年2月から2022年5月までに17例の三尖弁置換術症例を経験した.手術成績および追跡可能であった超音波検査におけるデータの変化を検討した.[結果]全例Carpentier-Edwards Perimount牛心膜弁を使用していた.17例のうち2例に手術死亡および入院中の死亡を認めた.残15例のうち3例に人工弁不全による再手術を要していた.摘出した人工弁は弁尖へのパンヌス形成だけでなく右室組織と高度に癒着しているものも経験された.いずれも術後6~8年と早期に再手術となっていた.再手術の3例を含め1年以上追跡可能であった症例は12例のみであったがこれらの超音波検査データを追跡すると,術後約3年目から人工弁逆流が増加し始め,4年目には人工弁圧格差が植え込み時の約1.5倍に増悪していた.[結語]Carpentier-Edwards Perimount牛心膜弁を用いた三尖弁位移植術の成績は満足いくものではなかった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.53.169