胃MALTリンパ腫に対する放射線治療完全寛解後の胃穿孔の1例

症例は79歳,女性.胃MALT(mucosa associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断,H. pylori陽性のため除菌治療を行うも治療抵抗性であったため放射線療法を施行した.その後,完全寛解となり経過観察としていた.翌年,胸痛を主訴に来院し,上部消化管穿孔の診断で緊急入院となった.全身状態は安定していたため,保存的加療を試みたが軽快せず手術方針とした.開腹すると胃体中部後壁に20×20mmの穿孔部位を認め,胃全摘術を施行した.病理所見ではリンパ腫の残存病変は認めなかった.術後経過は問題なく,術後15日目に退院となった.胃MALTリンパ腫の放射線治療後完全寛解例にお...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 7; pp. 1289 - 1294
Main Authors 成田, 正雄, 横山, 裕之, 杉本, 博行, 望月, 能成, 谷口, 健次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:症例は79歳,女性.胃MALT(mucosa associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断,H. pylori陽性のため除菌治療を行うも治療抵抗性であったため放射線療法を施行した.その後,完全寛解となり経過観察としていた.翌年,胸痛を主訴に来院し,上部消化管穿孔の診断で緊急入院となった.全身状態は安定していたため,保存的加療を試みたが軽快せず手術方針とした.開腹すると胃体中部後壁に20×20mmの穿孔部位を認め,胃全摘術を施行した.病理所見ではリンパ腫の残存病変は認めなかった.術後経過は問題なく,術後15日目に退院となった.胃MALTリンパ腫の放射線治療後完全寛解例における胃穿孔の報告は稀であるが,外科手術も必要となる合併症として念頭に置くべきである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1289