膵神経内分泌腫瘍と鑑別困難であった膵漿液性囊胞腺腫solid typeの1例

症例は66歳,男性.糖尿病のコントロールが悪化し,精査目的に施行したCTで,膵頭部に径8mmの腫瘤性病変を指摘され,精査加療目的に当科に紹介となった.腹部造影CTでは,動脈相で強く腫瘍全体が濃染し,その後wash outする多血性腫瘍を示した.超音波内視鏡下穿刺吸引生検を施行も確定診断に至らず,画像所見より非機能性膵神経内分泌腫瘍を疑った.腫瘍は主膵管を圧排しており,切除には膵頭十二指腸切除を要するため,腫瘍径も考慮し経過観察の方針とした.しかし,1年半の経過で,CTにて径8mmから径15mmと経時的に増大傾向であったため,D2郭清を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.肉眼所見では膵頭部...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 9; pp. 1280 - 1287
Main Authors 井出, 瑶平, 浦上, 秀次郎, 下田, 啓文, 石, 志絋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1280

Cover

More Information
Summary:症例は66歳,男性.糖尿病のコントロールが悪化し,精査目的に施行したCTで,膵頭部に径8mmの腫瘤性病変を指摘され,精査加療目的に当科に紹介となった.腹部造影CTでは,動脈相で強く腫瘍全体が濃染し,その後wash outする多血性腫瘍を示した.超音波内視鏡下穿刺吸引生検を施行も確定診断に至らず,画像所見より非機能性膵神経内分泌腫瘍を疑った.腫瘍は主膵管を圧排しており,切除には膵頭十二指腸切除を要するため,腫瘍径も考慮し経過観察の方針とした.しかし,1年半の経過で,CTにて径8mmから径15mmと経時的に増大傾向であったため,D2郭清を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.肉眼所見では膵頭部に充実性腫瘍を認めたが,病理組織学的検査では小囊胞の集簇からなる腫瘤で,膵漿液性囊胞腺腫solid typeと診断された.今回,術前診断において膵神経内分泌腫瘍との鑑別が困難であった膵漿液性囊胞腺腫solid typeの1例を経験したので,報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1280