SBS/AHT仮説をめぐる冤罪事件と医学界における検証の必要性
通説として医学界に受け入れられてきた揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome :SBS),虐待性頭部外傷(Abusive Head Trauma :AHT)をめぐる仮説(SBS/AHT仮説)に基づく医師の意見を根拠に,日本でも養育者による虐待が疑われ,親子分離や刑事訴追が行われてきた.しかし,近時,それらの訴追において無罪判決が相次いでいる.その背景には,SBS/AHT仮説の医学的根拠が揺らいでいる上,検察側医師の誤った診断があると考えられる.医学界として,誤った親子分離や冤罪の深刻さを踏まえて,SBS/AHT仮説にするゼロベースでの検証が求められている....
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 43; no. 7; pp. 566 - 572 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.11.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.43.566 |
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Summary: | 通説として医学界に受け入れられてきた揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome :SBS),虐待性頭部外傷(Abusive Head Trauma :AHT)をめぐる仮説(SBS/AHT仮説)に基づく医師の意見を根拠に,日本でも養育者による虐待が疑われ,親子分離や刑事訴追が行われてきた.しかし,近時,それらの訴追において無罪判決が相次いでいる.その背景には,SBS/AHT仮説の医学的根拠が揺らいでいる上,検察側医師の誤った診断があると考えられる.医学界として,誤った親子分離や冤罪の深刻さを踏まえて,SBS/AHT仮説にするゼロベースでの検証が求められている. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.43.566 |