窒素施肥量が加工・業務用ホウレンソウ群落の乾物生産に及ぼす影響
窒素施肥量を0,15,30,60 g・m–2(それぞれN0,N15,N30,N60区)の4水準として栽培したホウレンソウ群落について,乾物生産量の違いを日射遮蔽量(DIR)と日射利用効率(RUE)に分けて解析した.加工用の収穫期における乾物重の値は,窒素施肥量が多いほど大きくなった.N0区では,日射遮蔽率が飽和する前から葉面積指数(LAI)が他の区より有意に小さく,DIRが小さかったことが乾物重が他の区より有意に小さくなった一因と考えられた.N15区では,加工用の収穫期における積算DIRはN30,N60区と同等であり,乾物重の差はRUEの差に起因すると考えられた.本試験では,葉面積当たりの窒素...
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Published in | 園芸学研究 Vol. 24; no. 1; pp. 73 - 81 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 園芸学会
2025
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Subjects | |
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ISSN | 1347-2658 1880-3571 |
DOI | 10.2503/hrj.24.73 |
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Summary: | 窒素施肥量を0,15,30,60 g・m–2(それぞれN0,N15,N30,N60区)の4水準として栽培したホウレンソウ群落について,乾物生産量の違いを日射遮蔽量(DIR)と日射利用効率(RUE)に分けて解析した.加工用の収穫期における乾物重の値は,窒素施肥量が多いほど大きくなった.N0区では,日射遮蔽率が飽和する前から葉面積指数(LAI)が他の区より有意に小さく,DIRが小さかったことが乾物重が他の区より有意に小さくなった一因と考えられた.N15区では,加工用の収穫期における積算DIRはN30,N60区と同等であり,乾物重の差はRUEの差に起因すると考えられた.本試験では,葉面積当たりの窒素含有量(SLN)は多くの調査日において試験区間で有意な差は認められなかった.平均RUEの値は,青果用,加工用のいずれの収穫期においても2020年度はN0区とN15区またはN15区とN30区で同程度であり,2022年度は全試験区間で有意な差は認められなかった.このことから,ホウレンソウでは,窒素が不足した場合,他の広葉型の作物群落における既報と同様に,まずはDIRを低下させてRUEを維持すると考えられた.加工・業務用ホウレンソウの乾物生産を確保するためには,日射遮蔽率が飽和するまでに十分なLAIを確保できる程度の窒素含有率を保ち,日射遮蔽率が飽和した後はRUEを維持する程度の窒素含有率を保つことが重要であると考えられた. |
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ISSN: | 1347-2658 1880-3571 |
DOI: | 10.2503/hrj.24.73 |