Quadriceps Myopathyを呈した肢帯型筋ジストロフィー症の1臨床例

50歳の男性が5年前から徐々に進行した歩行障害と, 両側大腿部の筋萎縮を主訴として入院した. 両側大腿四頭筋と大殿筋に筋力低下が認められたが, 他の四肢筋の筋力は, ほぼ正常であった. 筋電図で大腿四頭筋にわずかに筋原性と思われる所見が認められ, 同部の筋生検で典型的な筋ジストロフィー症の病像が得られた. 我々はこれを, 肢帯型筋ジストロフィー症の1亜型と考えた. 「はじめに」進行性筋ジストロフィー症は, 臨床的にも遺伝形式的にも異なる疾患の総称であり, 一般には, Duchenne型, 顔面肩甲上腕型, 肢帯型の3型に大別される. しかし基礎にある病因が不明なため, 病型の鑑別に不明確な部分...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 6; no. 3; pp. 174 - 177
Main Authors 永嶺延子, 守本研二, 寺尾章, 調輝男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1980
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Summary:50歳の男性が5年前から徐々に進行した歩行障害と, 両側大腿部の筋萎縮を主訴として入院した. 両側大腿四頭筋と大殿筋に筋力低下が認められたが, 他の四肢筋の筋力は, ほぼ正常であった. 筋電図で大腿四頭筋にわずかに筋原性と思われる所見が認められ, 同部の筋生検で典型的な筋ジストロフィー症の病像が得られた. 我々はこれを, 肢帯型筋ジストロフィー症の1亜型と考えた. 「はじめに」進行性筋ジストロフィー症は, 臨床的にも遺伝形式的にも異なる疾患の総称であり, 一般には, Duchenne型, 顔面肩甲上腕型, 肢帯型の3型に大別される. しかし基礎にある病因が不明なため, 病型の鑑別に不明確な部分が存在し, 実際の診断にあたって, どの分類にもあてはまらない症例も稀ではない. 我々は50歳の男性で, 主として両側大腿部, 大殿筋に筋萎縮と筋力低下を認め, いわゆる“quadriceps myopathy”を呈し, 筋生検により肢帯型筋ジストロフィー症の1亜型と診断した1例を経験したので報告し, あわせて“quadriceps myopathy”に関する若干の文献的考察を加える.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j6(3)174