増殖速度が極めて低く術前診断に苦慮した島皮質転移性脳腫瘍の1例
「I 緒言」昨今の治療法の進歩に伴う癌患者の長期生存とCT, MRIに代表される非侵襲性検査の普及による原発巣および転移巣の発見率の向上により, 転移性脳腫瘍の発生頻度, 治療頻度は増加しつつある. 特に, 肺癌は脳転移の原発巣別頻度として最も頻度が高く, 肺癌の脳転移の頻度は転移性脳腫瘍のうち51.9%を占める1). 肺癌のうち非小細胞肺癌患者における脳転移の頻度は, 症例の20~24%2)~5), 剖検例では50%以上との報告がある5)6). また,非小細胞肺癌は原発巣診断から脳転移までの平均期間が3カ月と短く7), 好発部位は大脳皮髄境界部である. 我々は, 肺腺癌原発の転移性脳腫瘍症例...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 60; no. 4; pp. 205 - 209 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
10.08.2012
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ISSN | 0037-3826 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.60.205 |
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Summary: | 「I 緒言」昨今の治療法の進歩に伴う癌患者の長期生存とCT, MRIに代表される非侵襲性検査の普及による原発巣および転移巣の発見率の向上により, 転移性脳腫瘍の発生頻度, 治療頻度は増加しつつある. 特に, 肺癌は脳転移の原発巣別頻度として最も頻度が高く, 肺癌の脳転移の頻度は転移性脳腫瘍のうち51.9%を占める1). 肺癌のうち非小細胞肺癌患者における脳転移の頻度は, 症例の20~24%2)~5), 剖検例では50%以上との報告がある5)6). また,非小細胞肺癌は原発巣診断から脳転移までの平均期間が3カ月と短く7), 好発部位は大脳皮髄境界部である. 我々は, 肺腺癌原発の転移性脳腫瘍症例において, 病変が皮質に限局し, 原発巣診断から脳転移巣診断までの期間が長く, 脳転移巣の腫瘍増大速度が遅く, 全身的にも他病変のない, 非特異的な画像および臨床経過を呈した1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0037-3826 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.60.205 |