日本と極東ロシアのダニ媒介性脳炎ウイルスの系統解析と病原性

北海道と極東ロシアのダニ媒介性脳炎ウイルスの系統解析の結果,北海道株は極東地区において数百年前に出現したと推定された.イルクーツク地区のダニ媒介性脳炎ウイルスはシベリア亜型と同定された.ダニ媒介性脳炎ウイルスのBHK細胞適応変異株はマウスにおける神経侵襲性毒力が低下していた.変異株はエンベロープ蛋白に1ヶ所のアミノ酸置換があり,荷電が陽性に変化する変異であった.変異株はウイルス血症と脾臓でのウイルス価が親株に比べ低下していた.ダニ媒介性脳炎ウイルスの感染性cDNAクローンの作製に成功し,神経毒力の解析を行った.エンベロープ蛋白の1ヶ所とNs5の2ケ所のアミノ酸変異が相乗的に神経毒力の低下に関与...

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Published inウイルス Vol. 55; no. 1; pp. 35 - 44
Main Authors 高島, 郁夫, 早坂, 大輔, 後藤, 明子, 好井, 健太朗, 苅和, 宏明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ウイルス学会 2005
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Summary:北海道と極東ロシアのダニ媒介性脳炎ウイルスの系統解析の結果,北海道株は極東地区において数百年前に出現したと推定された.イルクーツク地区のダニ媒介性脳炎ウイルスはシベリア亜型と同定された.ダニ媒介性脳炎ウイルスのBHK細胞適応変異株はマウスにおける神経侵襲性毒力が低下していた.変異株はエンベロープ蛋白に1ヶ所のアミノ酸置換があり,荷電が陽性に変化する変異であった.変異株はウイルス血症と脾臓でのウイルス価が親株に比べ低下していた.ダニ媒介性脳炎ウイルスの感染性cDNAクローンの作製に成功し,神経毒力の解析を行った.エンベロープ蛋白の1ヶ所とNs5の2ケ所のアミノ酸変異が相乗的に神経毒力の低下に関与していた.
ISSN:0042-6857
1884-3433
DOI:10.2222/jsv.55.35