地域在住高齢者における扁平足と足の自覚症状,および肥満との関連
目的 扁平足は足の矢状方向のアーチ高が低下した状態であり,高齢者において足の痛みとの関連が報告されている。一方,健康成人では痛みとの関連はないとの報告もあり,扁平足と足の痛みとの関連性については定かでない。また小児では扁平足と肥満との関連が示されているが,高齢者における関連は明らかでない。本研究では簡便なフットプリント法を用いて,地域在住高齢男女における扁平足の頻度を求め,扁平足と足の痛みや疲れとの関連,ならびに扁平足と肥満の関連について検討する。 方法 長野県阿南町に居住する60歳以上の在宅自立高齢者2,392人のうち,調査に参加した340人(男性98人,女性242人)を対象とした。身長,体...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 50; no. 10; pp. 988 - 998 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2003
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Subjects | |
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ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.50.10_988 |
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Summary: | 目的 扁平足は足の矢状方向のアーチ高が低下した状態であり,高齢者において足の痛みとの関連が報告されている。一方,健康成人では痛みとの関連はないとの報告もあり,扁平足と足の痛みとの関連性については定かでない。また小児では扁平足と肥満との関連が示されているが,高齢者における関連は明らかでない。本研究では簡便なフットプリント法を用いて,地域在住高齢男女における扁平足の頻度を求め,扁平足と足の痛みや疲れとの関連,ならびに扁平足と肥満の関連について検討する。 方法 長野県阿南町に居住する60歳以上の在宅自立高齢者2,392人のうち,調査に参加した340人(男性98人,女性242人)を対象とした。身長,体重の計測,フットプリント(足跡印画)の採取を行い,足に関する症状や日常の身体活動に関するアンケートを行った。フットプリントより H ライン(内足部接線と外足部接線の交点と,第二趾先端部とを結ぶ線),footprint index(土踏まず面積/五趾部を除いた足底面積)を測定し,少なくとも一方の足で土踏まずの窩みが H ラインより内側である場合を扁平足とした。足裏の痛みや疲れは「まったくない」,「歩いたり立つとある」,「いつもある」のいずれかから選択させた。肥満度の指標として body mass index (BMI: kg/m2)を用い,男女別に求めた BMI の 3 分位による分類と扁平足との関連性について検討した。 結果 扁平足は男性の26.5%(95%信頼区間:22.0-31.0),女性の25.7%(95%信頼区間:20.2-31.2)に認められた。扁平足を有する者における足裏の痛みは男性32.0%,女性28.3%,疲れは男性34.6%,女性48.3%に認められ,扁平足の者におけるその割合に比し高く(痛み:男性17.2%,女性22.2%,疲れ:男性19.7%,女性28.0%),特に女性における疲れと扁平足との関連は有意であった。BMI と足裏の症状には関連性は認められなかった。女性では BMI の増加に伴い扁平足を有する者の割合は増加し(P=0.04), footprint index も低値をとった(P=0.02)。男性では BMI 3 分位が第 2,第 3 分位群では第 1 分位群に比し扁平足を有する者の割合が高かったが,その差は有意ではなかった。 結論 扁平足の者では足裏の痛みや疲れを感じている者の割合が高く,女性では扁平足と肥満の間に有意な正の関連性が認められた。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.50.10_988 |