低マグネシウム血症による下眼瞼向き垂直性眼振の 1 例

今回われわれは、めまいの発症から 6 カ月後に当院を受診した下眼瞼向き垂直性眼振（DBN：downbeat nystagmus）と振戦の症例を報告する。原因検索の結果、低マグネシウム血症が認められ、硫酸マグネシウムの静脈内投与による補正後、翌日には DBN と振戦はほぼ消失した。本邦でも低 Mg 血症でめまいを生じたとする報告はあるが、DBN に言及したものはなく、本邦初の低 Mg 血症による DBN 症例の報告と考えられた。低 Mg 血症の誘因となる、過剰なダイエット、長期の PPI 摂取、2 型糖尿病などが増加しており、低 Mg 血症は今後ますます念頭において診療すべき病態となっている。D...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 68; no. 2; pp. 100 - 106
Main Authors 黒田, 建彰, 黒田, 和宏, 高野, 若菜, 草場, 雄基, 伏木, 宏彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.03.2022
Subjects
下眼瞼向き垂直性眼振
低マグネシウム血症
振戦
眼振
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Summary:今回われわれは、めまいの発症から 6 カ月後に当院を受診した下眼瞼向き垂直性眼振（DBN：downbeat nystagmus）と振戦の症例を報告する。原因検索の結果、低マグネシウム血症が認められ、硫酸マグネシウムの静脈内投与による補正後、翌日には DBN と振戦はほぼ消失した。本邦でも低 Mg 血症でめまいを生じたとする報告はあるが、DBN に言及したものはなく、本邦初の低 Mg 血症による DBN 症例の報告と考えられた。低 Mg 血症の誘因となる、過剰なダイエット、長期の PPI 摂取、2 型糖尿病などが増加しており、低 Mg 血症は今後ますます念頭において診療すべき病態となっている。DBN 例では、頭部 MRI などの画像診断に加えて、血清 Mg の測定が重要と考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.68.2_100