実臨床におけるMSI-H症例の遺伝カウンセリングへの到達状況

近年固形癌においてマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MSI)検査が施行されているが,一般病院の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)頻度や経過ならびに遺伝カウンセリング施行状況は明らかではない.そこで,2020年4月1日~2022年12月31日に当院にてMSI検査を施行した203例について検討した.症例の内訳は消化器癌159例,泌尿器癌28例,婦人科癌12例,その他4例(2.0%)であった.MSI-Hは11例(5.4%)に認め,結腸癌5例,胃癌5例,前立腺癌1例であった.結腸癌の1例は遺伝カウンセリングを受け,MLH1変異陽性のLynch...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in遺伝性腫瘍 Vol. 24; no. 2; pp. 136 - 141
Main Authors 松井, 茂, 佐々木, 滋, 佐藤, 英章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会 25.10.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2435-6808
DOI10.18976/jsht.24.2_136

Cover

More Information
Summary:近年固形癌においてマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MSI)検査が施行されているが,一般病院の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)頻度や経過ならびに遺伝カウンセリング施行状況は明らかではない.そこで,2020年4月1日~2022年12月31日に当院にてMSI検査を施行した203例について検討した.症例の内訳は消化器癌159例,泌尿器癌28例,婦人科癌12例,その他4例(2.0%)であった.MSI-Hは11例(5.4%)に認め,結腸癌5例,胃癌5例,前立腺癌1例であった.結腸癌の1例は遺伝カウンセリングを受け,MLH1変異陽性のLynch症候群と診断された.ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)はMSI-Hの9例に使用していた.大腸癌以外の癌腫におけるMSI-H症例の組織学的特徴は明らかではないため,今後はさらに症例を追加し検討するとともに,遺伝カウンセリングも推奨していく必要がある.
ISSN:2435-6808
DOI:10.18976/jsht.24.2_136