成人鼠径部ヘルニアに対する10年間の術式選択と術後成績

目的:Transabdominal preperitoneal repair(以下,TAPP法)を導入した2013年からの10年間の,当科での鼠径部ヘルニア修復術の術式選択の変遷と手術成績を明らかにすることで,ヘルニア診療における課題を明らかにする.対象と方法:2013年4月から2023年3月までに当科で行った成人鼠径部ヘルニア修復術1,898例を対象とし,後方視的に検討した.結果:最も症例が多かったのはTAPP法で,1,359例中9例の再発を認めたが,2017年7月以降の症例では再発を認めていない.待機手術1,814例と緊急手術84例の成績を比較したところ,再発,Clavien-Dindo分...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 8; pp. 987 - 992
Main Authors 杉山, 陽一, 佐々木, 秀, 田崎, 達也, 香山, 茂平, 山口, 拓朗, 髙橋, 信也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.987

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Summary:目的:Transabdominal preperitoneal repair(以下,TAPP法)を導入した2013年からの10年間の,当科での鼠径部ヘルニア修復術の術式選択の変遷と手術成績を明らかにすることで,ヘルニア診療における課題を明らかにする.対象と方法:2013年4月から2023年3月までに当科で行った成人鼠径部ヘルニア修復術1,898例を対象とし,後方視的に検討した.結果:最も症例が多かったのはTAPP法で,1,359例中9例の再発を認めたが,2017年7月以降の症例では再発を認めていない.待機手術1,814例と緊急手術84例の成績を比較したところ,再発,Clavien-Dindo分類Grade II以上の合併症とも,緊急手術で割合が高かった(p<0.01).結語:成績向上のためには,適切な術式選択と手術手技の向上だけでなく,嵌頓を起こす前に手術を受けるよう,啓蒙することも必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.987