肝細胞癌の臨床的ならびに病理学的研究

1968年9月から1985年12月までの17年3カ月の間に, われわれは順天堂大学医学部消化器内科で診断した肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma;以下HCCと略) 348例の臨床的ならびに病理学的検討を行った.われわれは血管造影所見と病理所見を対比して, HCCに特異的な血管造影所見である腫瘍血管を組織学的に検索し, HCCの組織学的分類と血管造影所見の関係を明らかにした. また1972年4月から1985年12月までの13年8カ月の間に診断した328例のHCCについて, 超音波検査法 (ultrasonography;以下usと略) ・コンピュータ断層撮影法 (comp...

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Published in順天堂医学 Vol. 35; no. 4; pp. 476 - 483
Main Authors 白田, 一誠, 有山, 襄, 須山, 正文, 小川, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 1990
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Summary:1968年9月から1985年12月までの17年3カ月の間に, われわれは順天堂大学医学部消化器内科で診断した肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma;以下HCCと略) 348例の臨床的ならびに病理学的検討を行った.われわれは血管造影所見と病理所見を対比して, HCCに特異的な血管造影所見である腫瘍血管を組織学的に検索し, HCCの組織学的分類と血管造影所見の関係を明らかにした. また1972年4月から1985年12月までの13年8カ月の間に診断した328例のHCCについて, 超音波検査法 (ultrasonography;以下usと略) ・コンピュータ断層撮影法 (computed tomography;以下CTと略), および腹部血管造影法 (以下血管造影と略) の診断能を調べた. 各検査法の診断能はUS89%・CT91%・血管造影99%で血管造影が最もよかった. 切除63例で腫瘍の大きさを正確に計測して画像診断と比較すると, 2cm以上の腫瘍では検査法による診断能に差が無いが, 1cm以下の腫瘍はUS・CTでは困難で, 血管造影を行う必要があった. 診断できた最小の病変は0.8×0.8cmであった.血管造影はHCCの診断に最も有効な検査法で, 特に手術例には術前に血管造影を施行することによって血管の解剖・腫瘍の占拠部位を明らかにすることができた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.35.476