日本の看護における「全人的ケア」の概念分析

本研究は, 日本の看護における「全人的ケア」とは何か, その概念を明らかにすることを目的とし, Rodgers (2000) による概念分析法を用いて30文献を対象に分析した. 結果, 属性として【全体を捉えて関わる】【存在の脅かしをやわらげる・癒す】【寄り添う】【人間らしさやその人らしさを尊重する】の4つのカテゴリー, 先行要件として患者・家族, 看護師・医療者, 社会的の3つの様相において, 脅かされ, 求め, 未充足, 質, 変化や多様化に関する5つのカテゴリーが抽出された. 帰結として解放, 回復, 家族の成長, 医療者の成長に関する4つのカテゴリーが抽出された. これらから, 『「全...

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Published in日本看護技術学会誌 Vol. 19; pp. 83 - 91
Main Authors 荻原, 典子, 水戸, 優子, 金, 壽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護技術学会 2020
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ISSN1349-5429
2423-8511
DOI10.18892/jsnas.19.0_83

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Summary:本研究は, 日本の看護における「全人的ケア」とは何か, その概念を明らかにすることを目的とし, Rodgers (2000) による概念分析法を用いて30文献を対象に分析した. 結果, 属性として【全体を捉えて関わる】【存在の脅かしをやわらげる・癒す】【寄り添う】【人間らしさやその人らしさを尊重する】の4つのカテゴリー, 先行要件として患者・家族, 看護師・医療者, 社会的の3つの様相において, 脅かされ, 求め, 未充足, 質, 変化や多様化に関する5つのカテゴリーが抽出された. 帰結として解放, 回復, 家族の成長, 医療者の成長に関する4つのカテゴリーが抽出された. これらから, 『「全人的ケア」は, その人が存在を脅かされ, 人間らしさやその人らしさの尊重を求めたときに, その人の全体を捉えて関わることを基盤とし, その人の存在の脅かしをやわらげる・癒す, 寄り添うことを通じて, 人間らしさやその人らしさを尊重することである. その結果, 人間らしさやその人らしさが回復し, さらには関係する者の成長をもたらすものである』と定義された.
ISSN:1349-5429
2423-8511
DOI:10.18892/jsnas.19.0_83