三角筋部への筋肉内注射手技に関するテキスト記載および文献の検討:注射部位の選定と針穿刺時の手技について

三角筋部への筋肉内注射は, 末梢神経損傷や組織障害を起こす可能性があり, それらを回避する注射手技の確立ならびに技術教育は重要である. 今回, 注射手技のなかでも, 主に注射部位の選定と針穿刺時の手技について, 看護技術教育の教科書・参考書 (以下, テキスト) の記載内容および文献を確認し, テキストの記載内容の適切性ならびに今後の研究課題を検討した. 結果, すべての対象者にとって肩峰から3横指下の部位は必ずしも安全とはいえず, 注射施行者の指の太さや対象者の体格によっては腋窩神経を損傷する可能性についてテキストに明記すること, 針の長さを基準に注射針の刺入深度を示すテキストの記載について...

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Published in日本看護技術学会誌 Vol. 21; pp. 38 - 50
Main Author 前田, 耕助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護技術学会 20.08.2022
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Summary:三角筋部への筋肉内注射は, 末梢神経損傷や組織障害を起こす可能性があり, それらを回避する注射手技の確立ならびに技術教育は重要である. 今回, 注射手技のなかでも, 主に注射部位の選定と針穿刺時の手技について, 看護技術教育の教科書・参考書 (以下, テキスト) の記載内容および文献を確認し, テキストの記載内容の適切性ならびに今後の研究課題を検討した. 結果, すべての対象者にとって肩峰から3横指下の部位は必ずしも安全とはいえず, 注射施行者の指の太さや対象者の体格によっては腋窩神経を損傷する可能性についてテキストに明記すること, 針の長さを基準に注射針の刺入深度を示すテキストの記載については, 早急に見直すべきであることが示唆された. 三角筋部を走行している腋窩神経の走行に関する研究知見の蓄積ならびに対象者の腕を把持する方法ごとの皮下脂肪の厚みの程度について検証, 確認する必要性が今後の研究課題として得られた.
ISSN:1349-5429
2423-8511
DOI:10.18892/jsnas.21.0_38