災害発生時における産業精神保健上の課題と対策
災害時に労働者は危機体験に直面することにより様々な生理的・心理的反応が発生する.災害特有の産業精神保健上のリスクとして,心的外傷後ストレス障害やうつなどが知られているがその発症率は報告によりさまざまである.災害後のメンタルヘルス上の課題は,家屋被災,ご遺体を見る,住民クレームの対応,長時間労働などで増強される.災害時に専門職として必要なコンピテンシーは組織調整力,実践力,産業保健職としての一貫性であり,教育機会の提供や啓発活動が必要である.産業保健ニーズリストの適合率は80%程度で有用性が示されており,その後の産業保健ニーズ発生の予見をも助ける.災害時の産業保健活動を実践するためには,企業の事...
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Published in | 産業精神保健 Vol. 32; no. 1; pp. 34 - 38 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本産業精神保健学会
20.02.2024
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Summary: | 災害時に労働者は危機体験に直面することにより様々な生理的・心理的反応が発生する.災害特有の産業精神保健上のリスクとして,心的外傷後ストレス障害やうつなどが知られているがその発症率は報告によりさまざまである.災害後のメンタルヘルス上の課題は,家屋被災,ご遺体を見る,住民クレームの対応,長時間労働などで増強される.災害時に専門職として必要なコンピテンシーは組織調整力,実践力,産業保健職としての一貫性であり,教育機会の提供や啓発活動が必要である.産業保健ニーズリストの適合率は80%程度で有用性が示されており,その後の産業保健ニーズ発生の予見をも助ける.災害時の産業保健活動を実践するためには,企業の事業継続計画に関与するとともに,産業保健分野の事業継続計画を作成しておくことが望ましい.災害時の産業保健職を支援するための災害産業保健外部支援チームが結成され今後の活躍が期待される. |
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ISSN: | 1340-2862 2758-1101 |
DOI: | 10.57339/jjomh.32.1_34 |