順天堂大学小児科学教室における研究の発展
順天堂大学医学部小児科学教室の比較的最近の研究成果の主なものを列挙して解説した.1) 成長・発達に伴う分子レベルの変化, 小児の生化学的個体差 (素因) の双生児相互の類似性と成長に伴う変化をLDH-isozymesおよびamino acid patternsなどによって示した. 2) 中枢神経系のGOT, GPT, GAD (グルタミン酸脱炭酸酵素) およびamino acid patternsからアミノ酸代謝について検討した. 3) 消化管ホルモン, 特にガストリン, セクレチン, モチリン, CCK分泌能の発達を明らかにし, 幽門狭窄症, 消化管潰瘍, 乳幼児下痢症, 冬季下痢症などにお...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 30; no. 2; pp. 136 - 155 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
1984
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Subjects | |
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Summary: | 順天堂大学医学部小児科学教室の比較的最近の研究成果の主なものを列挙して解説した.1) 成長・発達に伴う分子レベルの変化, 小児の生化学的個体差 (素因) の双生児相互の類似性と成長に伴う変化をLDH-isozymesおよびamino acid patternsなどによって示した. 2) 中枢神経系のGOT, GPT, GAD (グルタミン酸脱炭酸酵素) およびamino acid patternsからアミノ酸代謝について検討した. 3) 消化管ホルモン, 特にガストリン, セクレチン, モチリン, CCK分泌能の発達を明らかにし, 幽門狭窄症, 消化管潰瘍, 乳幼児下痢症, 冬季下痢症などにおける血漿値を示した. 4) 胆汁酸代謝の発達を流産児 (胎児) から学童まで明らかにし血液, 胆汁および肝内の胆汁酸パターンの正常値から新生児肝炎および先天性胆道閉鎖症における異常値と比較し, これらの疾患の病因についての私見を述べた. 5) IgEおよび補体成分の発達を明らかにし, アレルギーおよび免疫性疾患, 特に川崎病, アナフィラクトイド紫斑病, 気管支喘息, アトピー性皮膚炎の発症について述べた. 川崎病はこれらの成績からある特殊な溶連菌 (変異株) の感染による免疫複合体症 (immune complex disease) である可能性が大きいと述べた. 6) 冠動脈のアンジオグラフィによる川崎病児の経過および先天性心疾患の冠動脈の分布型について, また, 小児の心筋のタウリン代謝について触れた. 7) 白血病のCFU-Cなどについて述べた. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.30.136 |