インフルンザウイルスワクチンにおける鼻腔内アジュバントの免疫応答の検討

インフルエンザウイルス感染は小児及び高齢者で有意に罹患率や死亡率の上昇をもたらす.ワクチンはインフルエンザウイルスに対する治療法として最も浸透しているが,効果については限局的である.インフルエンザウイルス感染の防御にはインフルエンザウイルス特異的CD4+ T細胞のみでなく,CD8+ T細胞やB細胞の存在が重要であることが以前より指摘されてきた.今回我々はBalb/cマウスを用いて筋肉内へのインフルエンザウイルスワクチン接種後に,鼻腔にアジュバントを投与しアジュバントの非特異的ブースト効果について検討を行った.マウスにA/Puerto Rico/8/1934(PR/8)H1N1リコンビナントHA...

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Published in日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 Vol. 8; no. 3; pp. 212 - 217
Main Authors 松永, 崇志, 立山, 香織, 川野, 利明, 篠村, 夏織, 平野, 隆, 木津, 有美, 吉永, 和弘, 鈴木, 正志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 20.11.2020
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ISSN2188-0077
2434-1932
DOI10.24805/jjsiao.8.3_212

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Summary:インフルエンザウイルス感染は小児及び高齢者で有意に罹患率や死亡率の上昇をもたらす.ワクチンはインフルエンザウイルスに対する治療法として最も浸透しているが,効果については限局的である.インフルエンザウイルス感染の防御にはインフルエンザウイルス特異的CD4+ T細胞のみでなく,CD8+ T細胞やB細胞の存在が重要であることが以前より指摘されてきた.今回我々はBalb/cマウスを用いて筋肉内へのインフルエンザウイルスワクチン接種後に,鼻腔にアジュバントを投与しアジュバントの非特異的ブースト効果について検討を行った.マウスにA/Puerto Rico/8/1934(PR/8)H1N1リコンビナントHA(rHA)ワクチンを筋肉内注射し,21日後にTh1型反応を促進するTLR9アゴニストであるCpG oligodeoxyribonucleotide(ODN),Th2型反応を促進するAlum,またはその両者による経鼻追加免疫を行った.続いてマウスに致死量のインフルエンザウイルスを投与し,14日後に血液・脾臓・肺・リンパ節を採取しフローサイトメトリーにてT細胞およびB細胞の解析を行った.血球のCD3+CD4+CD62+ナイーブT細胞とCD3+CD8+CD62-メモリーT細胞はPBSと比較してAlum + CpGでの複数アジュバント群で有意に誘導されていた.複数アジュバントは肺内のB細胞には有意な影響を与えなかった.本研究では各臓器におけるT細胞やB細胞の誘導の検討を行った.複数アジュバントは血球内でのT細胞の免疫細胞誘導に有効的である可能性が示唆された.
ISSN:2188-0077
2434-1932
DOI:10.24805/jjsiao.8.3_212