機能的MRIによる社会能力発達における神経基盤の解明

従来, 子どもの発達過程を観察することによって得られてきた社会的行動特性の神経基盤が, 機能的磁気共鳴画像 (機能的MRI) を用いた研究の展開によって明らかになりつつある. 自他同一性から自他区別, 共感と心の理論の発達を経て向社会行動 (利他行為) へ至る, というモデルに基づき社会能力の発達過程を解明する試みについて紹介する. 特に人間の利他的行為において社会的承認 (褒め) が重要であること, そしてそれが基本的報酬や金銭報酬と同様の神経基盤を持つことが明らかとなった. ミクロからマクロレベルに至るまで各階層で進行している神経科学の成果を人文諸科学と結びつける結節点としてのイメージング...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 23; no. 4; pp. 318 - 324
Main Author 定藤, 規弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2014
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.23.318

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Summary:従来, 子どもの発達過程を観察することによって得られてきた社会的行動特性の神経基盤が, 機能的磁気共鳴画像 (機能的MRI) を用いた研究の展開によって明らかになりつつある. 自他同一性から自他区別, 共感と心の理論の発達を経て向社会行動 (利他行為) へ至る, というモデルに基づき社会能力の発達過程を解明する試みについて紹介する. 特に人間の利他的行為において社会的承認 (褒め) が重要であること, そしてそれが基本的報酬や金銭報酬と同様の神経基盤を持つことが明らかとなった. ミクロからマクロレベルに至るまで各階層で進行している神経科学の成果を人文諸科学と結びつける結節点としてのイメージング研究の重要性を論ずる.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.23.318