もやもや病―血行再建術の適応と今後の課題

もやもや病治療の研究の進歩は著しく, 2015年には診断基準が改定された. 直接血行再建術は治療の中心であり, 虚血発症例だけでなく, 出血発症例に対しても有効性が証明された. 後方循環系への出血例は再出血しやすく, 直接血行再建術による再発予防効果は顕著であった. 未解決問題も数多く残っている. もやもや病と動脈硬化性疾患の鑑別はときに困難であり, 急速進行例への治療には難渋している. 直接血行再建術術後, さまざまな画像変化が報告されているが, 過灌流症候群を中心とした術後合併症との関係は明らかでない. もやもや病症例の高次脳機能障害の正確な評価, 無症候性例の自然歴の解明から, 血行再建...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 27; no. 7; pp. 522 - 527
Main Authors 岡田, 芳和, 山口, 浩司, 川島, 明次, 川俣, 貴一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2018
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.27.522

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Summary:もやもや病治療の研究の進歩は著しく, 2015年には診断基準が改定された. 直接血行再建術は治療の中心であり, 虚血発症例だけでなく, 出血発症例に対しても有効性が証明された. 後方循環系への出血例は再出血しやすく, 直接血行再建術による再発予防効果は顕著であった. 未解決問題も数多く残っている. もやもや病と動脈硬化性疾患の鑑別はときに困難であり, 急速進行例への治療には難渋している. 直接血行再建術術後, さまざまな画像変化が報告されているが, 過灌流症候群を中心とした術後合併症との関係は明らかでない. もやもや病症例の高次脳機能障害の正確な評価, 無症候性例の自然歴の解明から, 血行再建術の新たな適応の構築が期待される.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.27.522