フレイル:人参養栄湯
人参養栄湯は12種類の生薬から構成され,多面的な作用を持つ漢方薬である.本研究では,老化促進マウス(SAMP8)を用いて,人参養栄湯の投与が体重減少,筋力低下,運動機能低下などの身体的フレイル症状を抑制することを明らかにした.摂食量の増加が一因と考えられ,疲労感の軽減には炎症性サイトカインIL‐1βの抑制と抗炎症性サイトカインIL‐1RAの増加が関与していた.また,抗酸化作用も寄与する可能性がある. 今後の課題として,人参養栄湯の抗炎症・抗酸化作用がフレイル改善に関与する分子メカニズムの解明が求められる.構成生薬の個別作用や相互作用の解析を進めることで,より効果的なフレイル対策が期待される.さ...
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| Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 59; no. 2; pp. 43 - 47 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本外科代謝栄養学会
15.04.2025
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0389-5564 2187-5154 |
| DOI | 10.11638/jssmn.59.2_43 |
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| Summary: | 人参養栄湯は12種類の生薬から構成され,多面的な作用を持つ漢方薬である.本研究では,老化促進マウス(SAMP8)を用いて,人参養栄湯の投与が体重減少,筋力低下,運動機能低下などの身体的フレイル症状を抑制することを明らかにした.摂食量の増加が一因と考えられ,疲労感の軽減には炎症性サイトカインIL‐1βの抑制と抗炎症性サイトカインIL‐1RAの増加が関与していた.また,抗酸化作用も寄与する可能性がある. 今後の課題として,人参養栄湯の抗炎症・抗酸化作用がフレイル改善に関与する分子メカニズムの解明が求められる.構成生薬の個別作用や相互作用の解析を進めることで,より効果的なフレイル対策が期待される.さらに,臨床試験を通じた有効性と安全性の検証が必要であり,フレイル進行の可逆性を明らかにすることが重要である.これにより,老年医学における新たな健康管理戦略の確立が期待される. |
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| ISSN: | 0389-5564 2187-5154 |
| DOI: | 10.11638/jssmn.59.2_43 |