上顎に発生した巨大な歯原性粘液線維腫の 1 例

歯原性粘液腫瘍は 2017 年の WHO 分類で、豊富な粘液基質の中に星状もしくは紡錐形細胞を含む良性間質性腫瘍と定義されている。歯原性腫瘍の中では 1.6 − 2.7%とまれな疾患である。粘液腫は膠原線維を含む割合によって粘液線維腫と呼ばれる。今回われわれは、右上顎より発生した歯原性粘液線維腫を経験したので報告する。患者は 31 歳、男性、 3 カ月前より右鼻閉を自覚していた。初診時、右鼻腔を充満する腫瘤および無痛性の上顎歯肉、硬口蓋、口腔の腫脹を認めた。顔面 CT では腫瘍は上顎骨の破壊を伴い、上顎洞、鼻腔、硬口蓋、篩骨洞、蝶形骨洞、側頭下窩、上咽頭まで進展していた。歯肉部からの生検の結果...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 64; no. 3; pp. 101 - 107
Main Authors 松原, 誠, 大山, 俊廣, 加藤, 久幸, 内藤, 健晴, 櫻井, 一生, 片浦, 貴俊, 小串, 善生, 長坂, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.2018
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.64.3_101

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Summary:歯原性粘液腫瘍は 2017 年の WHO 分類で、豊富な粘液基質の中に星状もしくは紡錐形細胞を含む良性間質性腫瘍と定義されている。歯原性腫瘍の中では 1.6 − 2.7%とまれな疾患である。粘液腫は膠原線維を含む割合によって粘液線維腫と呼ばれる。今回われわれは、右上顎より発生した歯原性粘液線維腫を経験したので報告する。患者は 31 歳、男性、 3 カ月前より右鼻閉を自覚していた。初診時、右鼻腔を充満する腫瘤および無痛性の上顎歯肉、硬口蓋、口腔の腫脹を認めた。顔面 CT では腫瘍は上顎骨の破壊を伴い、上顎洞、鼻腔、硬口蓋、篩骨洞、蝶形骨洞、側頭下窩、上咽頭まで進展していた。歯肉部からの生検の結果、粘液腫と診断された。手術は Weber-Ferguson の皮切を用いて、右上顎亜全摘術を行った。病理診断にて紡錐形の間葉系細胞に異型はなく、膠原線維を多く含むことから粘液線維腫と診断された。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.64.3_101