職域乳がん検診受診率向上とマンモグラフィ単独検診の推進

2006年4月から2013年3月までの7年間に当協会で実施した職域乳がん検診結果をまとめ、受診率に影響している要因について検討した。7年間の受診者は延べ27,750人で、視触診併用マンモグラフィ(以下MMG)が72.4%、MMG単独20.4%、視触診単独7.2%であった。7年間で41人の乳がんが見つかったが、全員MMG受診者だった。MMG受診者は延べ25,755人で、初回受診は46.9%、複数回受診53.1%であった。7年間の成績は、視触診併用MMGは要精検率7.4%、精検結果返信率74.7%、発見率0.179%、MMG単独は要精検率6.7%、精検結果返信率72.4%、発見率0.088%、視触...

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Published in総合健診 Vol. 43; no. 3; pp. 419 - 428
Main Authors 竹内, 陽子, 長尾, 由紀, 山口, 孝子, 松林, 重幸, 折坂, 智恵子, 小出, 靖, 大川, 智久, 黒沢, 洋一, 森近, 俊彦, 岡本, 幹三, 高野, 友爾, 久安, 利枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 2016
Subjects
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.43.419

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Summary:2006年4月から2013年3月までの7年間に当協会で実施した職域乳がん検診結果をまとめ、受診率に影響している要因について検討した。7年間の受診者は延べ27,750人で、視触診併用マンモグラフィ(以下MMG)が72.4%、MMG単独20.4%、視触診単独7.2%であった。7年間で41人の乳がんが見つかったが、全員MMG受診者だった。MMG受診者は延べ25,755人で、初回受診は46.9%、複数回受診53.1%であった。7年間の成績は、視触診併用MMGは要精検率7.4%、精検結果返信率74.7%、発見率0.179%、MMG単独は要精検率6.7%、精検結果返信率72.4%、発見率0.088%、視触診単独は要精検率2.0%、精検結果返信率35.0%、発見率0.000%であった。視触診は受診者が検診をためらう大きな要因であり、検診側にとっても医師の確保と精度管理の困難さ、実施人数の制約等の問題が大きい。MMG単独の死亡率減少効果は認められているが、視触診は死亡率減少効果が十分ではなく、精度管理の問題もあり、対策型検診では平成28年度より原則MMG単独検診となった。職域においてもMMG単独検診を推進すれば、受診者は検診を受け易くなり、検診側は精度管理の向上と実施人数の増加が望め、結果としてがん発見数の増加に繋がると考えられる。費用の補助も受診率向上に効果的と考えられた。2009年4月から2013年3月までの全国健康保険協会管掌健康保険による生活習慣病予防健診受診者のMMG受診は、検診費用の補助のある偶数年齢群が奇数年齢群の約8倍と有意に多かった。職域乳がん検診は就業女性にとって利便性が高く、継続受診をし易い利点があるが、検診を効果的にするには事業所との連携が重要であり、個人情報保護を尊重しながら事業所と検診機関が連携できる仕組み作りが望まれる。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.43.419