気管支肺胞洗浄液中 β -D-グルカンが高値を示した慢性壊死性肺アスペルギルス症の 1 例

75 歳,男性.2 週間持続する発熱,喀痰,咳嗽を主訴に来院した.右上葉に浸潤影を認め,細菌性肺炎を疑い抗生剤を投与したが効果は乏しかった.細菌性肺炎以外の疾患を考慮し,気管支鏡検査を行った.気管支肺胞洗浄液中のリンパ球数増加,アスペルギルス抗原陽性・β -D-グルカン高値を示し,血中アスペルギルス抗原陰性・β -D-グルカン陰性であったが,我々は経過・画像所見・気管支肺胞洗浄液 (BALF) 検査所見から総合的に考え,慢性壊死性肺アスペルギルス症と臨床診断した.ボリコナゾール (VRCZ) 投与により解熱し,画像所見も改善した.治療効果判定のため,再度気管支鏡検査を行った.BALF 中のリン...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 83; no. 5; pp. 177 - 181
Main Authors 萩原, エリ, 新谷, 栄崇, 野口, 貴央, 熊澤, 文雄, 権, 寧博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2024
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.83.5_177

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Summary:75 歳,男性.2 週間持続する発熱,喀痰,咳嗽を主訴に来院した.右上葉に浸潤影を認め,細菌性肺炎を疑い抗生剤を投与したが効果は乏しかった.細菌性肺炎以外の疾患を考慮し,気管支鏡検査を行った.気管支肺胞洗浄液中のリンパ球数増加,アスペルギルス抗原陽性・β -D-グルカン高値を示し,血中アスペルギルス抗原陰性・β -D-グルカン陰性であったが,我々は経過・画像所見・気管支肺胞洗浄液 (BALF) 検査所見から総合的に考え,慢性壊死性肺アスペルギルス症と臨床診断した.ボリコナゾール (VRCZ) 投与により解熱し,画像所見も改善した.治療効果判定のため,再度気管支鏡検査を行った.BALF 中のリンパ球数と β -D-グルカン値は低下し,臨床所見と合致した.今回我々が経験した慢性壊死性肺アスペルギルス症において BALF 中 β -D-グルカンの診断的有用性および活動性の指標としての有用性が示唆された1 例を報告する.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.83.5_177