経皮的声帯内ステロイド注入が奏功した竹節状声帯の1例

自己免疫疾患に関連して生じる喉頭病変の一つとして竹節状声帯が知られている。患者は 28 歳、女性。全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)でステロイドを内服加療中。感冒後より嗄声が出現し、近医耳鼻咽喉科を受診した。声帯結節の診断で内服や吸入療法を行うも症状が改善せず当院を受診した。音声は二重声で、高音発声時に気息性嗄声を認めた。喉頭内視鏡検査で右声帯膜様部ほぼ中央に横断性の白色線状隆起病変を認めた。喉頭ストロボスコピーでは、病変部の粘膜波動減少と病変部後方の声門閉鎖不全を認めた。病歴や初診時の喉頭所見より竹節状声帯と診断し、経皮的声帯内ステロイ...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 64; no. 4; pp. 145 - 150
Main Authors 喜瀬, 乗基, 梅﨑, 俊郎, 井口, 貴史, 松原, 尚子, 安達, 一雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.07.2018
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Summary:自己免疫疾患に関連して生じる喉頭病変の一つとして竹節状声帯が知られている。患者は 28 歳、女性。全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)でステロイドを内服加療中。感冒後より嗄声が出現し、近医耳鼻咽喉科を受診した。声帯結節の診断で内服や吸入療法を行うも症状が改善せず当院を受診した。音声は二重声で、高音発声時に気息性嗄声を認めた。喉頭内視鏡検査で右声帯膜様部ほぼ中央に横断性の白色線状隆起病変を認めた。喉頭ストロボスコピーでは、病変部の粘膜波動減少と病変部後方の声門閉鎖不全を認めた。病歴や初診時の喉頭所見より竹節状声帯と診断し、経皮的声帯内ステロイド注入術を施行した。注入後 1 カ月で、音声は正常化し、竹節状隆起病変もほぼ消失した。また、音声機能検査と音響分析のいずれにおいても大幅に改善した。経皮的声帯内ステロイド注入は、原疾患の治療のみでは改善しない声帯病変に対する第一選択の治療法になりうる可能性が示唆される。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.64.4_145