骨盤臓器脱患者の治療選択と経過

【目的】骨盤臓器脱患者が、初診時に選択した治療法と外来終了時に選択した治療法の変化の過程を明らかにする。【方法】2018 年1 月から2019 年3 月までの間に山梨大学医学部付属病院泌尿器科外来に骨盤臓器脱で受診した54名、平均年齢74.2 歳を対象とした後ろ向き観察研究である。診療録より患者背景、骨盤臓器脱の症状と客観的評価、受診目的、当院での初診時から外来終了時までに選択した治療法の経過を収集し分析した。【結果】初診時の自覚症状として下垂感が最も多く、脱出感や排尿困難感、尿失禁を訴えている患者がいた。また、手術希望の患者は41 名と最も多く、次いで精査加療、保存療法希望であった。治療は①...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本女性骨盤底医学会誌 Vol. 17; no. 1; pp. 86 - 91
Main Authors 櫻井, 三希子, 小林, 英樹, 小林, 康江, 谷口, 珠実, 小久保, 恵理, 高岡, 智子, 武田, 正之, 三井, 貴彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本女性骨盤底医学会 16.01.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2187-5669
2434-8996
DOI10.32310/jfpfm.17.1_86

Cover

More Information
Summary:【目的】骨盤臓器脱患者が、初診時に選択した治療法と外来終了時に選択した治療法の変化の過程を明らかにする。【方法】2018 年1 月から2019 年3 月までの間に山梨大学医学部付属病院泌尿器科外来に骨盤臓器脱で受診した54名、平均年齢74.2 歳を対象とした後ろ向き観察研究である。診療録より患者背景、骨盤臓器脱の症状と客観的評価、受診目的、当院での初診時から外来終了時までに選択した治療法の経過を収集し分析した。【結果】初診時の自覚症状として下垂感が最も多く、脱出感や排尿困難感、尿失禁を訴えている患者がいた。また、手術希望の患者は41 名と最も多く、次いで精査加療、保存療法希望であった。治療は①手術、②骨盤底筋訓練、③骨盤底サポーター®、④リングペッサリーがあり、保存療法では②~④を臓器脱の状態や患者のADL に合わせて組み合わせた方法を提案した。その結果、外来終了時には手術を選択した患者は減少し、保存療法を選択した患者が増加した。【考察】第1 選択に手術を考え初回受診した患者が多かったが、外来終了時は保存治療を選択した患者が多いことが示された。特に高齢患者では、保存療法により下垂感の軽減など自覚症状が改善すると、保存療法に満足し手術を選択しない患者が増えたためと考えられた。骨盤臓器脱はQOL 疾患であり、患者のライフスタイルや価値観を確認しながら、治療を選択する必要がある。
ISSN:2187-5669
2434-8996
DOI:10.32310/jfpfm.17.1_86