粟粒結核に伴った結核性腹部大動脈瘤と胸部大動脈瘤の同時発生の1手術例

症例は48歳女性,整形外科で手関節の手術を予定されていた.術前検査で偶発的に両側肺野粒状影を認め精査で粟粒結核と診断された.同時に腎動脈上腹部大動脈嚢状瘤と胸部下行大動脈嚢状瘤を認めた.抗結核薬4剤投与で治療開始されたが2カ月の経過で腹部大動脈瘤の急速拡大を認め手術の方針とした.手術は部分体外循環下に左開胸で胸部下行大動脈を遮断,腹部正中切開で腎動脈下腹部大動脈を遮断し腎動脈上の仮性動脈瘤を切除しリファンピシン浸漬人工血管によるパッチ閉鎖術を施行した.また同時に胸部大動脈瘤に対して胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行した.腹部大動脈瘤の培養検査でMycobacterium tu...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 50 - 54
Main Authors 田村, 智紀, 村井, 佑太, 竹谷, 剛, 宝来, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2023
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Summary:症例は48歳女性,整形外科で手関節の手術を予定されていた.術前検査で偶発的に両側肺野粒状影を認め精査で粟粒結核と診断された.同時に腎動脈上腹部大動脈嚢状瘤と胸部下行大動脈嚢状瘤を認めた.抗結核薬4剤投与で治療開始されたが2カ月の経過で腹部大動脈瘤の急速拡大を認め手術の方針とした.手術は部分体外循環下に左開胸で胸部下行大動脈を遮断,腹部正中切開で腎動脈下腹部大動脈を遮断し腎動脈上の仮性動脈瘤を切除しリファンピシン浸漬人工血管によるパッチ閉鎖術を施行した.また同時に胸部大動脈瘤に対して胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行した.腹部大動脈瘤の培養検査でMycobacterium tuberculosisを検出し結核性大動脈瘤と診断した.術後経過は良好であり,抗結核薬投与を継続し第36病日に退院した.術後7カ月が経過した現在,抗結核薬内服は継続しており再発を認めていない.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.50