慢性期に局在性脳萎縮を伴った片頭痛の一例

家族性片麻痺性片頭痛や,てんかんの症例では,巣症状の発生部位に一致して脳萎縮を呈することがある.われわれは,初診より7年の経過で著明な脳萎縮をきたした片頭痛の一例を経験したため,報告する.症例は50歳台の男性.前兆のある片頭痛の既往あり.失語,読字障害,視野障害などの巣症状を伴う片頭痛のため,当院に2年間で3回入院した.3回目の入院で左片麻痺を伴い,片麻痺性片頭痛疑いとした.初診時より7年後の頭部画像検査では,右後頭葉を中心に著明な脳萎縮を認めた.その機序として,①前兆期に出現する脳灌流の変化,②皮質拡延性抑制の反復,③痙攣の合併,などによる神経細胞障害が示唆された....

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Published in日本頭痛学会誌 Vol. 50; no. 3; pp. 625 - 630
Main Authors 黒井, 康博, 菊池, 麻美, 新井, 直幸, 久保田, 有一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本頭痛学会 2024
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Summary:家族性片麻痺性片頭痛や,てんかんの症例では,巣症状の発生部位に一致して脳萎縮を呈することがある.われわれは,初診より7年の経過で著明な脳萎縮をきたした片頭痛の一例を経験したため,報告する.症例は50歳台の男性.前兆のある片頭痛の既往あり.失語,読字障害,視野障害などの巣症状を伴う片頭痛のため,当院に2年間で3回入院した.3回目の入院で左片麻痺を伴い,片麻痺性片頭痛疑いとした.初診時より7年後の頭部画像検査では,右後頭葉を中心に著明な脳萎縮を認めた.その機序として,①前兆期に出現する脳灌流の変化,②皮質拡延性抑制の反復,③痙攣の合併,などによる神経細胞障害が示唆された.
ISSN:1345-6547
2436-1577
DOI:10.50860/jjho.50.3_625