胆道疾患と心疾患―胆嚢炎は心電図変化を来す

胆道疾患と心疾患の間に密接な関係があることは古くから知られており,両疾患が併存・合併することにより診断や治療の遅れにつながることが報告されている.さらに,胆嚢炎と心筋虚血は時に類似した臨床像を呈することがある.心疾患が認められない胆嚢炎患者において,非特異的な心電図変化や不整脈を認める症例報告が散見される.心電図変化を認める事から心疾患を疑われ,不要な侵襲的検査および治療が行われたり,胆嚢炎の診断が遅れて重症化する可能性が指摘されている.救急疾患として早期診断が望まれるが,複数領域にまたがるため臨床医に十分な知見が浸透しているとは言い切れないのが現状である.本稿において胆道疾患と心疾患の関連性...

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Published in胆道 Vol. 39; no. 1; pp. 49 - 55
Main Authors 新井, 相一郎, 佐藤, 寿洋, 佐々木, 優, 室屋, 大輔, 宮崎, 大貴, 緑川, 隆太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.03.2025
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.39.49

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Summary:胆道疾患と心疾患の間に密接な関係があることは古くから知られており,両疾患が併存・合併することにより診断や治療の遅れにつながることが報告されている.さらに,胆嚢炎と心筋虚血は時に類似した臨床像を呈することがある.心疾患が認められない胆嚢炎患者において,非特異的な心電図変化や不整脈を認める症例報告が散見される.心電図変化を認める事から心疾患を疑われ,不要な侵襲的検査および治療が行われたり,胆嚢炎の診断が遅れて重症化する可能性が指摘されている.救急疾患として早期診断が望まれるが,複数領域にまたがるため臨床医に十分な知見が浸透しているとは言い切れないのが現状である.本稿において胆道疾患と心疾患の関連性について触れ,心疾患を伴わない胆嚢炎において心電図異常を認めた症例報告をまとめて概説するとともに,初療のポイントについて考察する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.39.49