腹腔鏡下骨盤内臓全摘術後に発症したwell leg compartment syndromeの1例

65歳,男性.cT2N3M0の進行直腸癌に対して腹腔鏡下骨盤内臓全摘術を行った.術後の血液検査で著明なCPK値上昇と両下腿痛を認め,診察では両下腿に発赤,腫脹,熱感,緊満感および著明な圧痛を認めた.両下腿筋膜内圧を測定したところ,右下腿38mmHg,左下腿26mmHgと高値であったため,手術体位による両側下腿コンパートメント症候群と診断した.術後14時間半に両下腿内側に対して減張切開術を施行したところ,疼痛は軽減しCPK値も低下した.術後14日目に減張切開創を閉鎖し,リハビリテーションを施行した結果,術後3カ月でほぼ後遺症なく自宅退院となった.手術体位や長時間手術により健常下肢に発症する下腿コ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 86; no. 1; pp. 115 - 121
Main Authors 中川 朋, 坂本 祥大, 山口 拓也, 今井 稔, 外山 和隆, 戸口 景介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2025
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.86.115

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Summary:65歳,男性.cT2N3M0の進行直腸癌に対して腹腔鏡下骨盤内臓全摘術を行った.術後の血液検査で著明なCPK値上昇と両下腿痛を認め,診察では両下腿に発赤,腫脹,熱感,緊満感および著明な圧痛を認めた.両下腿筋膜内圧を測定したところ,右下腿38mmHg,左下腿26mmHgと高値であったため,手術体位による両側下腿コンパートメント症候群と診断した.術後14時間半に両下腿内側に対して減張切開術を施行したところ,疼痛は軽減しCPK値も低下した.術後14日目に減張切開創を閉鎖し,リハビリテーションを施行した結果,術後3カ月でほぼ後遺症なく自宅退院となった.手術体位や長時間手術により健常下肢に発症する下腿コンパートメント症候群は,治療介入が遅れると致命的となる疾患である.頭低位手術や長時間手術後に下肢痛やCPK値上昇を認めた場合,下腿コンパートメント症候群を想起し早期に治療介入を行う必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.86.115