COVID-19と診断され入院後の確認検査で偽陽性と判定された8事例に関する検討

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定診断に用いられる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査法は複数あるが,検査感度・特異度は100%ではない.2021年1月1日から12月31日に他施設でCOVID-19と診断され専用病棟に入院した421名のうち,8名の偽陽性事例を経験した.そのうちの5事例は,入院もしくは術前スクリーニング目的にSARS-CoV-2検査が実施されたが,全員が無症状で検査前確率は低かった.さらに8事例すべてに感染機会となる行動歴,接触歴はなく,疫学的リンクは低いと考えられ,検査結果を慎重に解釈する必要があった.検査には限界があり,一定の確率で偽陽性を認める...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本環境感染学会誌 Vol. 39; no. 4; pp. 104 - 110
Main Authors 中江, 舞美, 藤谷, 好弘, 黒沼, 幸治, 小林, 亮, 佐藤, 勇樹, 韮澤, 慎也, 村井, 良精, 髙橋, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.07.2024
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定診断に用いられる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査法は複数あるが,検査感度・特異度は100%ではない.2021年1月1日から12月31日に他施設でCOVID-19と診断され専用病棟に入院した421名のうち,8名の偽陽性事例を経験した.そのうちの5事例は,入院もしくは術前スクリーニング目的にSARS-CoV-2検査が実施されたが,全員が無症状で検査前確率は低かった.さらに8事例すべてに感染機会となる行動歴,接触歴はなく,疫学的リンクは低いと考えられ,検査結果を慎重に解釈する必要があった.検査には限界があり,一定の確率で偽陽性を認めることは不可避である.検査目的や臨床症状などから偽陽性を疑う症例については,検体を再度採取し,再検査も検討する必要がある.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.39.104