急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の現状と近未来

前方循環系の脳主幹動脈閉塞を原因とする急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収療法の有効性が, 2015年に発症早期例を, 2018年に発症時刻不明例や発症から時間の経過した症例を対象として証明された. 画像診断に基づく患者選択と, 発症から再開通までの時間短縮が転帰改善に強く影響することが明らかとなっている. 現在, 脳底動脈閉塞例や広範囲の虚血コアを有する症例を対象としたランダム化比較試験や, 血栓回収療法と神経保護薬の併用に関する試験が進行中である. さらに, 血栓回収療法を実地臨床へ広く普及させるために, 脳卒中救急診療体制の確立が重要な課題である....

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 28; no. 9; pp. 552 - 560
Main Authors 猪原, 匡史, 豊田, 一則, 髙橋, 淳, 田中, 寛大, 古賀, 政利, 吉本, 武史, 山上, 宏, 井上, 学, 佐藤, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2019
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.28.552

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Summary:前方循環系の脳主幹動脈閉塞を原因とする急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収療法の有効性が, 2015年に発症早期例を, 2018年に発症時刻不明例や発症から時間の経過した症例を対象として証明された. 画像診断に基づく患者選択と, 発症から再開通までの時間短縮が転帰改善に強く影響することが明らかとなっている. 現在, 脳底動脈閉塞例や広範囲の虚血コアを有する症例を対象としたランダム化比較試験や, 血栓回収療法と神経保護薬の併用に関する試験が進行中である. さらに, 血栓回収療法を実地臨床へ広く普及させるために, 脳卒中救急診療体制の確立が重要な課題である.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.28.552