下咽頭原発胞巣型横紋筋肉腫の 1 例

横紋筋肉腫は小児では最も高い頻度で発生する悪性軟部腫瘍である。傍髄膜・眼窩を含む頭頸部領域は好発部位とされているものの、下咽頭での発生は非常にまれである。今回われわれは、成人下咽頭に発生した胞巣型横紋筋肉腫の症例を経験したため報告する。症例は 64 歳、男性。下咽頭左梨状陥凹に腫瘍性病変を認め、咽頭喉頭頸部食道摘出、遊離空腸再建手術を施行し、胞巣型横紋筋肉腫の診断を得た。術後補助化学療法として vincristine、actinomycin D、cyclophosphamide(VAC)療法を施行し、術後 3 年以上経過した現在まで再発を認めていない。近年、予後不良因子として FOXO1 関連...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 69; no. 4; pp. 311 - 317
Main Authors 加藤, 生真, 波多野, 孝, 藤井, 誠志, 佐久間, 巴, 高橋, 秀聡, 折舘, 伸彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.07.2023
Subjects
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.69.4_311

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Summary:横紋筋肉腫は小児では最も高い頻度で発生する悪性軟部腫瘍である。傍髄膜・眼窩を含む頭頸部領域は好発部位とされているものの、下咽頭での発生は非常にまれである。今回われわれは、成人下咽頭に発生した胞巣型横紋筋肉腫の症例を経験したため報告する。症例は 64 歳、男性。下咽頭左梨状陥凹に腫瘍性病変を認め、咽頭喉頭頸部食道摘出、遊離空腸再建手術を施行し、胞巣型横紋筋肉腫の診断を得た。術後補助化学療法として vincristine、actinomycin D、cyclophosphamide(VAC)療法を施行し、術後 3 年以上経過した現在まで再発を認めていない。近年、予後不良因子として FOXO1 関連融合遺伝子のほかに TP53 や MYOD1 変異が報告されている。今後、分子病理学的特徴を含めたリスク層別化や治療方法の個別化を行うことが、成人横紋筋肉腫の予後改善のため期待される。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.69.4_311