内耳道内に発生した前下小脳動脈遠位部動脈瘤破裂の1例

症例は76歳女性で, 突然の頭痛と嘔吐でSAHを発症した. 頭部CTで左後頭蓋窩に優位なSAHを認めたが, 画像検索を繰り返し行うも, 脳動脈瘤など原因確定ができなかった. Day 9に脳血管撮影を再検し, 右AICA遠位部に動脈瘤をようやく確認した. Day 14に手術を行ったが, 動脈瘤は内耳道内に完全に埋もれており, 内耳道を開放したが不完全なclippingに終わった. 根治のため後日AICA trappingを行い, 右聴力の低下はあったものの脳梗塞の出現なく経過した. 内耳道内前下小脳動脈瘤はきわめてまれであり, その治療はclippingやtrappingが従来行われてきた. 術...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 26; no. 9; pp. 682 - 687
Main Authors 白井, 和歌子, 田村, 有希恵, 徳光, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2017
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.26.682

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Summary:症例は76歳女性で, 突然の頭痛と嘔吐でSAHを発症した. 頭部CTで左後頭蓋窩に優位なSAHを認めたが, 画像検索を繰り返し行うも, 脳動脈瘤など原因確定ができなかった. Day 9に脳血管撮影を再検し, 右AICA遠位部に動脈瘤をようやく確認した. Day 14に手術を行ったが, 動脈瘤は内耳道内に完全に埋もれており, 内耳道を開放したが不完全なclippingに終わった. 根治のため後日AICA trappingを行い, 右聴力の低下はあったものの脳梗塞の出現なく経過した. 内耳道内前下小脳動脈瘤はきわめてまれであり, その治療はclippingやtrappingが従来行われてきた. 術後聴神経障害を合併することが多く, 改善の見込みはほぼない. 本症例でも同様であった. 過去の報告例を交え, 本脳動脈瘤の特徴と治療方法について言及した.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.26.682