胆道癌術後肝転移再発における肝切除の是非とその適応

胆道癌に対する唯一の根治療法は外科的切除であるが,肝転移を含む遠隔転移の切除意義は不明である.現時点では遠隔転移症例は切除不能とされ全身化学療法が第一選択であるが,異時性肝転移については切除が長期生存に寄与する可能性も報告されている.切除適応に関してはいまだ確固たるエビデンスはないが,これまでの報告,自験例を検討すると,再発までの期間が少なくとも1年程度と長く,単発あるいは数個までの少数例,原発巣のリンパ節転移がない症例は切除を考慮してもよいと考えられる.また,これらの腫瘍学的条件と原発切除の術式による影響を含めた技術的な因子も考慮し適応を検討する必要がある.具体的な個数,再発までの期間のカッ...

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Published in胆道 Vol. 39; no. 1; pp. 42 - 48
Main Authors 高屋敷, 吏, 鈴木, 大亮, 高野, 重紹, 大塚, 将之, 酒井, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.03.2025
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.39.42

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Summary:胆道癌に対する唯一の根治療法は外科的切除であるが,肝転移を含む遠隔転移の切除意義は不明である.現時点では遠隔転移症例は切除不能とされ全身化学療法が第一選択であるが,異時性肝転移については切除が長期生存に寄与する可能性も報告されている.切除適応に関してはいまだ確固たるエビデンスはないが,これまでの報告,自験例を検討すると,再発までの期間が少なくとも1年程度と長く,単発あるいは数個までの少数例,原発巣のリンパ節転移がない症例は切除を考慮してもよいと考えられる.また,これらの腫瘍学的条件と原発切除の術式による影響を含めた技術的な因子も考慮し適応を検討する必要がある.具体的な個数,再発までの期間のカットオフ,その他の条件と,周術期化学療法の適応,至適レジメン,期間などは今後の検討課題である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.39.42