絞扼性腸閉塞にて緊急手術を行った小腸神経内分泌腫瘍の1例

症例は80歳,男性.腹痛を主訴に前医を受診し造影CTで上腸間膜リンパ節腫大を認めたが,上下部・カプセル内視鏡検査では異常所見がなかった.今回腹痛で当院を受診し,造影CTで回腸の狭窄と腸管壁造影効果の減弱あり.絞扼性腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した.術中所見では小腸間膜内に存在する約3cmの腫大リンパ節が回結腸動静脈根部から腸間膜に癒着し,上腸間膜動脈の方向に浸潤していた.リンパ節を起点として小腸間膜,小腸が捻転していた.捻転を解除したが小腸は壊死し,小腸・右半結腸切除を行った.病理組織検査で小腸神経内分泌腫瘍(以下,NET)G2と診断した.術後縫合不全となり再手術を施行し,経過は良好である....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 5; pp. 631 - 635
Main Authors 海老原, 統基, 花岡, 裕, 黒柳, 洋弥, 呉山, 由花, 平松, 康輔, 的場, 周一郎, 高澤, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.631

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Summary:症例は80歳,男性.腹痛を主訴に前医を受診し造影CTで上腸間膜リンパ節腫大を認めたが,上下部・カプセル内視鏡検査では異常所見がなかった.今回腹痛で当院を受診し,造影CTで回腸の狭窄と腸管壁造影効果の減弱あり.絞扼性腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した.術中所見では小腸間膜内に存在する約3cmの腫大リンパ節が回結腸動静脈根部から腸間膜に癒着し,上腸間膜動脈の方向に浸潤していた.リンパ節を起点として小腸間膜,小腸が捻転していた.捻転を解除したが小腸は壊死し,小腸・右半結腸切除を行った.病理組織検査で小腸神経内分泌腫瘍(以下,NET)G2と診断した.術後縫合不全となり再手術を施行し,経過は良好である.小腸NETは本邦では比較的珍しく,消化管NETに占める回腸NETの割合は0.6%と報告されている.今回経験した絞扼性腸閉塞を発症した小腸NETは稀な病態であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.631