高校生の骨密度に対する栄養素摂取量および生活習慣の関連

目的 骨量が最大となる高校生について骨密度と生活習慣,特に栄養素摂取や運動習慣との関連性を男女共に検討する。 方法 798人の高校生(男子281人,女子517人)を対象に超音波による踵骨骨密度測定を行い,骨密度(Stiffness)と栄養素摂取量および生活習慣との関連を検討した。なお,栄養調査には厚生省健康指針策定委員会編による簡易食物摂取状況調査表を用いた。 結果 男子では90,女子では77を Stiffness のカットオフ値としたところ,男子48人(17.1%),女子43人(8.3%)が骨密度低下と判定された。男子では骨密度低下群の身長と体重,一日当たりのエネルギー摂取量,たんぱく質摂取...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 5; pp. 389 - 398
Main Authors 相良, 多喜子, 西条, 旨子, 広川, 渉, 森河, 裕子, 三浦, 克之, 田畑, 正司, 中川, 秀昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2002
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Summary:目的 骨量が最大となる高校生について骨密度と生活習慣,特に栄養素摂取や運動習慣との関連性を男女共に検討する。 方法 798人の高校生(男子281人,女子517人)を対象に超音波による踵骨骨密度測定を行い,骨密度(Stiffness)と栄養素摂取量および生活習慣との関連を検討した。なお,栄養調査には厚生省健康指針策定委員会編による簡易食物摂取状況調査表を用いた。 結果 男子では90,女子では77を Stiffness のカットオフ値としたところ,男子48人(17.1%),女子43人(8.3%)が骨密度低下と判定された。男子では骨密度低下群の身長と体重,一日当たりのエネルギー摂取量,たんぱく質摂取量,脂質摂取量,糖質摂取量は骨密度正常群に比べ有意に低かった。また,女子の骨密度低下群の体重および一日当たりのエネルギー摂取量,脂肪摂取量は正常群に比べ有意に低かった。しかし,ダイエットをしている者の割合は男女共に 2 群間で有意の差を認めなかった。また,カルシウムを多く含む食品の摂取頻度を検討したところ,牛乳をまったく飲まない者の割合は男女共,正常群に比べ骨密度低下群で有意に低く,男子では緑黄色野菜を食べる者の割合も有意に低かった。生活習慣との関連では女子では日光にあたるようにしている者の割合が骨密度正常群に比べ骨密度低下群で有意に少なかった。また,運動習慣として,現在(高校)および中学での運動部活動状況を調査した結果,学年による差を二元配置分散分析により考慮しても運動部活動をしている者はしていない者に比べ,男女共に Stiffness が有意に高かった。さらに,これらの骨密度低下と関連の認められた栄養摂取状況,生活習慣,運動習慣及び体重について各要因相互間の関連性を多重ロジスティックモデルにより調整したところ,男子では摂取エネルギーが少ないことが,女子では脂肪摂取量が少ない,現在(高校)の運動部活動をしていない,牛乳を飲まないことが他の要因とは独立に骨密度の低下と有意な関連があった。 結論 これらのことから,高校生においても栄養素摂取状況と運動習慣は骨密度と関連を認め,男子においても女子と同様,適正な栄養素摂取が骨量の発達に重要であることが示唆された。また,牛乳の飲用は女子の骨密度の適正化に重要な要因であると考えられた。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.49.5_389