房総半島嶺岡帯西部のアルカリ玄武岩に取り込まれた砂岩の産状とそのテクトニクス上の意義

嶺岡帯,鴨川市峠においてアルカリ玄武岩溶岩中に噴出時に取り込まれたと考えられる砂岩を発見した.この砂岩はおもに,斜長石・ダトー石・石英・および珪長質火山岩片から構成され,ダトー石を除けば嶺岡層群神塚層または愛宕山層の砂岩の構成粒子の鉱物組み合わせに似ている.アルカリ玄武岩の活動場は,このような陸源性砂岩が供給されるような場であった事が明らかとなった.アルカリ玄武岩は,その産状と化学組成から,海山を構成していたと考えられるが,アルカリ玄武岩の噴出場と含まれている陸源性砂岩の堆積場は,おそらく海洋プレートと島弧もしくは大陸が会合する収束境界付近であった見込みが高い.アルカリ玄武岩の放射年代は,嶺岡...

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Published in地質学雑誌 Vol. 108; no. 11; pp. 691 - 700
Main Authors 奥澤, 康一, 平野, 直人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 2002
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.108.11_691

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Summary:嶺岡帯,鴨川市峠においてアルカリ玄武岩溶岩中に噴出時に取り込まれたと考えられる砂岩を発見した.この砂岩はおもに,斜長石・ダトー石・石英・および珪長質火山岩片から構成され,ダトー石を除けば嶺岡層群神塚層または愛宕山層の砂岩の構成粒子の鉱物組み合わせに似ている.アルカリ玄武岩の活動場は,このような陸源性砂岩が供給されるような場であった事が明らかとなった.アルカリ玄武岩は,その産状と化学組成から,海山を構成していたと考えられるが,アルカリ玄武岩の噴出場と含まれている陸源性砂岩の堆積場は,おそらく海洋プレートと島弧もしくは大陸が会合する収束境界付近であった見込みが高い.アルカリ玄武岩の放射年代は,嶺岡帯のオフィオリティック岩体が本州弧側へ定置したとされる時代の直前であり,本論の結果と調和的である.本研究において嶺岡帯の形成過程を論じるにおいて新たな見地が得られた.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.108.11_691