短期間で両側の末梢性顔面神経麻痺と急性感音難聴を来した 1 例

症例は 24 歳、男性。左急性感音難聴を発症し、ステロイド投与などで軽快したが、約 1 カ月後に左末梢性顔面神経麻痺と右急性感音難聴を来した。さらにその約 3 週間後に右末梢性顔面神経麻痺を来した。ウイルス感染や頭蓋内疾患、神経変性疾患などはいずれも否定的であり、両側異時性発症の交代性 Bell 麻痺と交代性突発性難聴と考えられた。ステロイド漸減療法を行い、右 Bell 麻痺発症から約 2 週間後にはいずれの症状もほぼ完全に改善した。両側発症の Bell 麻痺、突発性難聴、さらにそれらを併発した例は極めてまれである。両疾患は明確な原因が判明しておらず、また治療法も完全に確立されていない。ともに...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 68; no. 2; pp. 90 - 99
Main Authors 岡村, 誠司, 小宗, 静男, 織田, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.03.2022
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Summary:症例は 24 歳、男性。左急性感音難聴を発症し、ステロイド投与などで軽快したが、約 1 カ月後に左末梢性顔面神経麻痺と右急性感音難聴を来した。さらにその約 3 週間後に右末梢性顔面神経麻痺を来した。ウイルス感染や頭蓋内疾患、神経変性疾患などはいずれも否定的であり、両側異時性発症の交代性 Bell 麻痺と交代性突発性難聴と考えられた。ステロイド漸減療法を行い、右 Bell 麻痺発症から約 2 週間後にはいずれの症状もほぼ完全に改善した。両側発症の Bell 麻痺、突発性難聴、さらにそれらを併発した例は極めてまれである。両疾患は明確な原因が判明しておらず、また治療法も完全に確立されていない。ともにステロイド投与が有効とされている点や、予後は比較的良好である点など似通った特徴もあり、両者に共通する病態が存在するのかもしれない。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.68.2_90