急性感音難聴患者に対するステロイド加療によるB型肝炎増悪の有無の検討
耳鼻咽喉科において急性感音難聴は頻繁に遭遇する疾患群のうちの一つである.特に突発性難聴では副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)の全身投与による加療が現在一般的である.しかし,ステロイドには免疫抑制としての側面もあり,免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインにはステロイド投与によるB型肝炎の増悪について記載されている.今回,我々は急性感音難聴加療に対するB型肝炎の増悪の有無を検討した.HBs抗原あるいはHBs抗体,HBc抗体のいづれかの陽性例でステロイド投与例に関してHBV-DNAのPCRを行った.初回時,検出感度以上の例はなかった.最長1年の経過でPCRが検出感度以上となった例...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 Vol. 7; no. 2; pp. 79 - 82 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
20.05.2019
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Subjects | |
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ISSN | 2188-0077 2434-1932 |
DOI | 10.24805/jjsiao.7.2_79 |
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Summary: | 耳鼻咽喉科において急性感音難聴は頻繁に遭遇する疾患群のうちの一つである.特に突発性難聴では副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)の全身投与による加療が現在一般的である.しかし,ステロイドには免疫抑制としての側面もあり,免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインにはステロイド投与によるB型肝炎の増悪について記載されている.今回,我々は急性感音難聴加療に対するB型肝炎の増悪の有無を検討した.HBs抗原あるいはHBs抗体,HBc抗体のいづれかの陽性例でステロイド投与例に関してHBV-DNAのPCRを行った.初回時,検出感度以上の例はなかった.最長1年の経過でPCRが検出感度以上となった例はなかった.ステロイドの投与量が再活性化の中リスク以上にあたらないためと考えた.ただし,今回はもともとPCRで検出感度以上の患者がいなかったこともあり,今後もB型肝炎の有無に注意していく必要があると考えた. |
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ISSN: | 2188-0077 2434-1932 |
DOI: | 10.24805/jjsiao.7.2_79 |