脳動脈瘤血管内治療における3Dプリンターを用いた新規マイクロカテーテルシェーピング技術の有用性

脳動脈瘤に対する血管内治療において,3Dプリンター技術の応用が進んでいる.瘤内塞栓術における治療の安全性や確実性の向上のためには,マイクロカテーテル(MC)のシェーピングが重要な要素の1つである.われわれは,これまでの中腔モデルとは違い,安価かつ短時間で作成可能な3Dマンドレルモールド(3DMM)を作成し,その有効性について検討した.2021年1月から2023年12月までに済生会福岡総合病院で脳動脈瘤に対して血管内治療を行った患者のうち,画像結果をもとにMCを自身でシェーピングした10例(Manual群)と3DMMを用いた連続10例(3DMM群)を対象にした.評価項目は,治療方法,reshap...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 53; no. 2; pp. 102 - 107
Main Authors 中村, 普彦, 廣畑, 優, 河野, 隆幸, 森岡, 基浩, 梶原, 壮翔, 丹羽, 悠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2025
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.53.102

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Summary:脳動脈瘤に対する血管内治療において,3Dプリンター技術の応用が進んでいる.瘤内塞栓術における治療の安全性や確実性の向上のためには,マイクロカテーテル(MC)のシェーピングが重要な要素の1つである.われわれは,これまでの中腔モデルとは違い,安価かつ短時間で作成可能な3Dマンドレルモールド(3DMM)を作成し,その有効性について検討した.2021年1月から2023年12月までに済生会福岡総合病院で脳動脈瘤に対して血管内治療を行った患者のうち,画像結果をもとにMCを自身でシェーピングした10例(Manual群)と3DMMを用いた連続10例(3DMM群)を対象にした.評価項目は,治療方法,reshapeの有無,MCを動脈瘤内に留置するまでの時間,ガイドワイヤー先行でのMC留置の有無,MCの安定性,VER,手術時間,治療に伴う合併症とした.調査の結果,両群の患者背景や動脈瘤の形状に差はなかった.reshapeの頻度は3DMM群で有意に少なく,MCを瘤内に留置するまでの時間は3DMM群で有意に短かった(11.4±3.4 vs 15.5±4.5 min,p<0.05).3DMM群のほうがガイドワイヤーによる誘導にMCを瘤内に留置でき,安定性も高かった(95.1±10.4 vs78.2±21.4%,p<0.05).VERや手術時間,合併症に有意差は認めなかった.われわれの考案する3DMMを用いたMCのシェーピングは,脳動脈瘤塞栓術においてMCの瘤内への誘導を簡便にし,安全性の向上に寄与した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.53.102