長期経過した遺残ガーゼを核とした鼻石症の 1 例
鼻腔異物は日常臨床でしばしば経験されるが、摘出されなかった鼻腔異物は鼻石を形成することがある。今回われわれは本邦では最長と思われる、約 60 年前に挿入されたガーゼを核とした鼻石症を経験したので報告する。症例は 75 歳の男性で症状は特になく、脳梗塞後の嚥下評価目的に当科外来を受診した。嚥下内視鏡検査の際に、総鼻道から下鼻道にかけて鼻石を疑う占拠性病変を認めた。表面麻酔下に外来診察室で摘出を試み、大きな合併症なく摘出できた。鼻石は真菌塊とガーゼと思われる繊維成分を含んでいた。摘出後の問診で約 60 年前に副鼻腔手術を受けていたことが明らかになり、ガーゼはその際に挿入されたものと推測された。病理...
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Published in | 耳鼻と臨床 Vol. 66; no. 2; pp. 47 - 51 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
耳鼻と臨床会
20.03.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0447-7227 2185-1034 |
DOI | 10.11334/jibi.66.2_47 |
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Summary: | 鼻腔異物は日常臨床でしばしば経験されるが、摘出されなかった鼻腔異物は鼻石を形成することがある。今回われわれは本邦では最長と思われる、約 60 年前に挿入されたガーゼを核とした鼻石症を経験したので報告する。症例は 75 歳の男性で症状は特になく、脳梗塞後の嚥下評価目的に当科外来を受診した。嚥下内視鏡検査の際に、総鼻道から下鼻道にかけて鼻石を疑う占拠性病変を認めた。表面麻酔下に外来診察室で摘出を試み、大きな合併症なく摘出できた。鼻石は真菌塊とガーゼと思われる繊維成分を含んでいた。摘出後の問診で約 60 年前に副鼻腔手術を受けていたことが明らかになり、ガーゼはその際に挿入されたものと推測された。病理診断でも繊維成分と真菌を認めた。鼻石摘出後に副鼻腔 CT を撮影したが、遺残ガーゼや鼻石の残存は認められなかった。鼻石症に対しては、鼻腔異物も念頭に置いた問診や診察が肝要と考えられた。 |
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ISSN: | 0447-7227 2185-1034 |
DOI: | 10.11334/jibi.66.2_47 |