巨大冠動脈瘤を伴う冠動脈-肺動脈瘻の1手術例

症例は73歳女性.横行結腸癌の術前心エコー検査で冠動脈異常を指摘され,冠動脈CT検査および冠動脈カテーテル検査にて冠動脈瘤および冠動脈静脈瘻と診断された.冠動脈静脈瘻は冠動脈-肺動脈瘻で,肺動脈周囲に異常血管を認め,一部が瘤化していた.瘤は右冠動脈由来(径28 mm),左冠動脈由来(径16 mm,12 mm)と多発冠動脈瘤であった.心不全徴候なく無症状であったが,1年前の心エコー検査では冠動脈瘤を指摘されておらず,瘤の拡大傾向を認めていたことから,破裂予防目的に手術治療を行った.手術は胸骨正中切開,人工心肺を用い心停止下に行った.冠動脈瘤を切開し流入および流出動脈の開口部を瘤内部より縫合閉鎖し...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 5 - 8
Main Authors 田邉, 信, 別所, 早紀, 中村, 文, 小暮, 周平, 伊藤, 久人, 庄村, 遊, 高尾, 仁二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2023
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Summary:症例は73歳女性.横行結腸癌の術前心エコー検査で冠動脈異常を指摘され,冠動脈CT検査および冠動脈カテーテル検査にて冠動脈瘤および冠動脈静脈瘻と診断された.冠動脈静脈瘻は冠動脈-肺動脈瘻で,肺動脈周囲に異常血管を認め,一部が瘤化していた.瘤は右冠動脈由来(径28 mm),左冠動脈由来(径16 mm,12 mm)と多発冠動脈瘤であった.心不全徴候なく無症状であったが,1年前の心エコー検査では冠動脈瘤を指摘されておらず,瘤の拡大傾向を認めていたことから,破裂予防目的に手術治療を行った.手術は胸骨正中切開,人工心肺を用い心停止下に行った.冠動脈瘤を切開し流入および流出動脈の開口部を瘤内部より縫合閉鎖した.冠動脈-肺動脈瘻に対しては結紮閉鎖した後,肺動脈幹を切開して冠動脈-肺動脈瘻の肺動脈への流出部を確認しながら完全閉鎖した.術後心エコーにて冠動脈-肺動脈瘻のresidual shunt血流の消失を確認し,冠動脈CT検査では冠動脈瘤および冠動脈-肺動脈瘻の消失を認めた.経過は順調で術後12日目に独歩退院した.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.5