口腔顔面領域に生じた神経障害性疼痛治療の実際 ~ガイドラインにもとづいた薬物療法

目的:口腔顔面領域の神経障害性疼痛に対する診断から薬物療法までの実際を2例の症例報告をもとに解説する. 症例の概要:症例1:57歳,女性.1年半前,某口腔外科にて上顎前歯部口蓋側歯肉の血管腫と診断され切除術を受けた.術後,創部は治癒したが,数か月かけてぴりぴりとした痛みが生じるようになり当科を受診した.症例2:62歳,女性.某歯科医院において左下第2小臼歯部にインプラント埋入術を受けた.手術後,左下唇およびインプラント周囲の歯肉の知覚鈍麻が継続していた.その後,さらに接触痛が生じるようになったため当科を受診した.両症例とも,疼痛部位に異常感覚(Allodynia,Dysesthesia)を伴っ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本口腔顔面痛学会雑誌 Vol. 4; no. 1; pp. 1_23 - 28
Main Author 村岡, 渡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔顔面痛学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1883-308X
1882-9333
DOI10.11264/jjop.4.1_23

Cover

More Information
Summary:目的:口腔顔面領域の神経障害性疼痛に対する診断から薬物療法までの実際を2例の症例報告をもとに解説する. 症例の概要:症例1:57歳,女性.1年半前,某口腔外科にて上顎前歯部口蓋側歯肉の血管腫と診断され切除術を受けた.術後,創部は治癒したが,数か月かけてぴりぴりとした痛みが生じるようになり当科を受診した.症例2:62歳,女性.某歯科医院において左下第2小臼歯部にインプラント埋入術を受けた.手術後,左下唇およびインプラント周囲の歯肉の知覚鈍麻が継続していた.その後,さらに接触痛が生じるようになったため当科を受診した.両症例とも,疼痛部位に異常感覚(Allodynia,Dysesthesia)を伴っており,外傷性神経障害性疼痛と診断した.プレガバリンによる薬物療法により症状は改善した. 考察:神経障害性疼痛の診断には,異常感覚(Allodynia,Dysesthesia)の発現を確認することや診断的局所麻酔を用いることが有効であった.また,治療は,神経障害性疼痛の薬物療法のガイドラインを参考にして,副作用を確認しながら有効な薬剤を選択することが重要であると考えられた. 結論:口腔顔面領域での神経障害性疼痛は,適切な診断および薬物療法を行うことによって症状の改善を得ることが可能であると考えられた.
ISSN:1883-308X
1882-9333
DOI:10.11264/jjop.4.1_23