仰臥位での開口抵抗訓練時の嚥下関連筋の筋活動について

高齢者の嚥下機能は加齢により低下することが報告されている。また,誤嚥性肺炎を契機に絶食や臥床期間が生じることでサルコペニアに至り,嚥下障害が重度化するケースも散見される。サルコペニアの原因は,加齢,活動,栄養,疾患に分類されるが,いずれの場合も栄養介入と同時に運動介入が必要である。そこで,嚥下機能の低下の予防を目的とし,安静臥床時にも行える嚥下筋に対する筋力増強訓練を検討した。健常成人17名(男性10名,女性7名),平均年齢31.9±6.2歳を対象とした。測定は,開口抵抗訓練を座位と仰臥位で行ったときの舌骨上筋群および胸鎖乳突筋を表面筋電計で記録し,最大振幅値および平均振幅値を計測した。座位と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in老年歯科医学 Vol. 39; no. 4; pp. 208 - 215
Main Authors 岡野, 雄二, 坂口, 紅美子, 橋本, 幸成, 奥田, 正作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.39.4_208

Cover

More Information
Summary:高齢者の嚥下機能は加齢により低下することが報告されている。また,誤嚥性肺炎を契機に絶食や臥床期間が生じることでサルコペニアに至り,嚥下障害が重度化するケースも散見される。サルコペニアの原因は,加齢,活動,栄養,疾患に分類されるが,いずれの場合も栄養介入と同時に運動介入が必要である。そこで,嚥下機能の低下の予防を目的とし,安静臥床時にも行える嚥下筋に対する筋力増強訓練を検討した。健常成人17名(男性10名,女性7名),平均年齢31.9±6.2歳を対象とした。測定は,開口抵抗訓練を座位と仰臥位で行ったときの舌骨上筋群および胸鎖乳突筋を表面筋電計で記録し,最大振幅値および平均振幅値を計測した。座位と仰臥位の姿勢間での最大・平均振幅値の比較には,Wilcoxonの符号付き順位検定を用いた。有意水準はすべて5 %未満とした。 舌骨上筋群において最大振幅値では座位が仰臥位よりも高い値を示し,平均振幅値では仰臥位が座位よりも高い値を示したが,いずれも有意差は認めなかった。胸鎖乳突筋においては最大振幅値,平均振幅値ともに仰臥位に比べて座位が高い値を示した(p<0.05)。 仰臥位での運動は座位と比して,老嚥およびサルコペニア,さらに臥床状態の急性期症例であっても舌骨上筋群を強化できる可能性が示唆された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.39.4_208